1994 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌の微量検出法による歯周治療効果の評価
Project/Area Number |
06771712
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
楠本 豊 大阪大学, 歯学部, 助手 (40252689)
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Keywords | 歯周病 / 歯周治療 / 歯周病原性細菌 / Porphyromonas gingivalis / Polymerase Chain Reaction |
Research Abstract |
前年度科学研究費実績報告で報告したPorphyromonas gingivalis(P.g.)のPorymerase Chain Reaction(PCR)を応用した高感度検出法に若干改良を加え、各試料からのDNA抽出をより簡便にし、多量の試料から短時間にgenomic DNAを抽出、調製できるようにした。 大阪大学歯学部附属病院歯周病室を受診した患者の5mm以上の深さを有するポケットより初診時、ルートプレーニング後2週間ごとに16週目までペーパーポイントを用いて歯周ポケット内のプラークを採取した。プラーク中のP.g.の存在量の変移はPCRを用いた検出法を利用して検討した。P.g.は初診時の約80%の部位から検出されたが、この部位においてルートプレーニング後2週目でP.g.が検出される部位とP.g.が検出されなくなる部位が認められた。興味深いことにP.g.が2および4週目で認められた部位においても6週目にP.g.が検出できなくなる部位が存在した。この部位におけるプロービング深さは2週目および4週目では歯周治療前とあまり変化は認められず、6週目で著明な減少を示した。すなわち、このような部位においてはポケットが残存している期間は治療によりP.g.の菌数は減少するもののポケット内に残存しているが、治療後の組織治癒に伴いポケットの深さが減少することによりP.g.が認められなくなったと考えられる。この結果は、歯周ポケット内の環境の変化が、P.g.の定着、増殖に影響を与えていることを示唆しているものと考えられる。また、ルートプレーニングが施されたにもかかわらずP.g.が残存している部位でははポケット深さの著明な減少は認められない。さらに、2もしくは6週目にP.g.が検出できなくなった部位では、現在調べた限りでは16週目までP.g.の再定着は認められていない。以上の結果より歯周治療効果の評価法として、ポケット内の特定細菌の検出は有効であり評価は6週目以降に行うことが効率的であることがわかった。さらに、6週目でP.g.を検出した部位においては再度歯周治療を行う必要があると考えられる。 現在、ルートプレーニング後のP.g.のポケット内での経時的な動態をさらに長期的に検討するとともに他の治療法として抗生物質局所投与後のP.g.の動態も検討中である。また、P.g.以外の歯周病原性細菌のPCRを応用した検出法の開発も同時に行っている。
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