1994 Fiscal Year Annual Research Report
骨移植における歯槽骨並びにセメント質再生機序に関する超微形態学的研究
Project/Area Number |
06771717
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河口 浩之 広島大学, 歯学部, 助手 (10224750)
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Keywords | 免疫細胞化学 / ハイドロキシアパタイト / 移植材 / オステオポンチン / 歯槽骨再生 |
Research Abstract |
ラットに人工的に形成した歯槽骨欠損に対して人工骨を移植し、周囲組織との界面の物質についてレクチン金標識およびコロイド金標識の免疫染色を行い電顕観察した。移植材としてはハイドロキシアパタイト、抗体は非コラーゲン性骨蛋白としてオステオポンチンとオステオカルシン、血清蛋白としてアルブミンとフェチュイン、また、各種のレクチンを用いた。 透過型電顕で電子密度の高い層として認められるハイドロキシアパタイトと再生骨の界面は、オステオポンチンと強く反応した。オステオカルシン、アルブミン、フェチュインも弱いながら反応した。さらに、レクチン金細胞化学的検索よりこの層は、ガラクトース、N-アセチルグルコサミン、シアン酸を豊富に含んでいた。このことより、ハイドロキシアパタイトと再生骨の界面に認められる電子密度の高い層は、オステオポンチン、また他の物質中にも存在している糖を豊富に含むことが明らかとなった。この結果は、骨基質間にみられるセメントラインや細胞と骨基質間にみられる境界線(lamina limitans)の結果と一致し、移植材周囲の層は形態的にも細胞化学的にもセメントラインや境界線(lamina limitans)に類似していることが示唆された。現在、セメントラインや境界線(lamina limitans)は、骨のモデリングやリモデリング時において多様な役割を演じていることが報告されているが、ハイドロキシアパタイトと再生骨の界面に認められる層についても、骨修復過程において基質-基質間の接着などの多彩な機能が示唆される。
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