1994 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉組織中の慢性炎症巣における形質細胞増殖に関する研究
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06771722
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮武 祥子 九州大学, 歯学部, 助手 (40190798)
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Keywords | 辺縁性歯周炎 / PAP法 / PCNA / 形質細胞 |
Research Abstract |
辺縁性歯周炎罹患患者から採取した歯肉組織から1)アセトン固定AMeX法を用いたパラフィン切片、2)10%中性ホルマリン固定を用いたパラフィン切片を作製した。これに抗PCNA抗体を用いたPAP法を施し、角化上皮の基底細胞層を対照として、増殖細胞の染色性について比較した。1)では陽性反応が細胞質にまでび慢性に生じるため、特に炎症性浸潤細胞の陽性の判断が困難であった。2)では陽性反応が核に限局し、陰性との区別がつきやすかった。従って、10%中性ホルマリン固定標本を用いて以降の検索を行なった。しかし、この固定法では使用可能なモノクローナル抗体が限られていたため、検索の対照は、増殖細胞(PCNA)、T cell(UCHL-1)、B cell(L26)とした。 歯周炎患者4名12部位から採取した炎症性歯肉組織において、上皮細胞以外のPCNA陽性細胞、B cell、T cellの分布について検討した。PCNA陽性細胞は散在性にごく少数のみであったが、血管内や血管の付近に存在する傾向があった。炎症性細胞浸潤のまばらな上皮直下や、ポケット上皮の上皮脚に囲まれた狭い結合組織内に散在していた。リンパ球を主体とした浸潤巣内には数個存在していたが、形質細胞主体の浸潤巣の内部には殆ど存在していなかった。またB cell、T cellの集簇部に数が多いという傾向もなかった。 今回の検索では、歯肉局所で爆発的に増加する形質細胞の由来を明確にすることはできなかった。形質細胞の集簇は、抗原刺激に惹起された炎症反応の結果であり、少なくとも形質細胞自体の局所での分裂はなく、血管からの新たなリンパ球の補充によってその周辺に新しい炎症巣ができ、それが連続するようにして広がっていくようである。 今後は症例数をふやし、以上の知見を明確にする必要があると思われる。
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