1994 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉縁下細菌叢内での歯周病関連細菌に影響を及ぼすバクテリオシンに関する研究
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06771732
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
町頭 三保 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80253897)
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Keywords | バクテリオシン / Actinomyces viscosus / 抗菌活性 / 歯肉縁下細菌叢 |
Research Abstract |
バクテリオシンは細菌から産生され,同菌種あるいは異菌種の発育を阻害する拮抗因子の一つであり、細胞叢に影響すると考えられている。歯周疾患の発症と進行には、歯肉縁下に存在する細菌が重要な働きをしており,プラークを構成する細菌叢に変化がみられる。したがって、歯肉炎から歯周炎に移行する段階において細菌間の相互作用を検索し歯肉縁下細菌叢への影響を検討することは,歯周病の病態を知るとともに,将来的には歯周病の治療に役立つと思われる。 そこで、歯肉炎において主に分離される細菌のひとつであるActinomyces viscosusのバクテリオシン活性を検索するとともに,その分離・精製を試みた。 穿刺法によるスクリーニングにおいて強い活性のみられた組み合わせを選択し、産生菌を嫌気的に培養後、培養上清からバクテリオシンの精製を行なった。精製は、硫安塩析、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーにより行ない、逆相クロマトグラフィーにて細いピーク、またSDS-PAGEで単一バンドが得られた。精製したバクテリオシンの性状を調べたところ、その活性は易熱性、プロテアーゼ感受性、糖分解酵素耐性で、分子量はゲル濾過により58kdaと求められた。さらに蛋白、全糖量、全脂質を定量し、アミノ産分析を行った。なお、本バクテリオシンは,若年性歯周炎患者より多く分離されるActinobacillus actinomycetem comitans、及び成人性歯周炎患者より多く分離されるPorphyromonus gingivalisに対し強い抗菌活性を示した。 本研究により精製されたActinomyces viscosusの産生するバクテリオシンは、蛋白質と考えられ、それは歯周病原菌に抗菌活性を持つことが明かにされた。 今後さらに広い範囲における抗菌活性を検討するとともに、歯肉炎から歯周炎に移行する段階におけるバクテリオシンの役割を検討したい。
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