1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06771791
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
塙 隆夫 徳島大学, 歯学部, 助教授 (90142736)
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Keywords | チタン / カルシウムイオン注入 / 表面改質層 / 表面分析 / 生体適合性 |
Research Abstract |
鏡面に研磨したチタン板(99.6%)に、カルシウムイオン(Ca^<2+>)を18keVのエネルギーで10^<16>ions/cm^2、10^<17>ions/cm^2、10^<18>ions/cm^2の3種類の量を注入した。これらのCa^<2+>注入チタンの表面を、アセトンおよびエタノールで洗浄後、オージェ電子分光(AES)、X線光電子分光(XPS)、透過型電子顕微鏡による電子線回折によって分析した。AESおよびXPSの結果から、注入前に約4nmの厚さのTiO_2であった表面酸化物は、注入後に、10^<16>ions/cm^2で約8nm、10^<17>ions/cmで約10nm^2、10^<18>ions/cm^2で約12nmに成長していることが明らかになった。これは、イオン注入による衝撃による熱発生のための酸化の進行、あるいはカルシウムの酸化の自由エネルギーがチタンよりも低いための注入後のカルシウムの酸化のいずれかによると考えられる。また、注入されたCa^<2+>イオンは、表面酸化物中に存在し、下地のチタンには注入されていなかった。注入後の表面酸化物(表面改質層)は、10^<16>ions/cm^2と10^<17>ions/cmでは、最表層にチタン酸カルシウムが、その下に酸化チタンが存在していた。10^<18>ions/cm^2では、最表面に酸化カルシウム、その下にチタン酸カルシウム、さらに下層に酸化チタンが存在していた。これらの層の境界および表面改質層と下地チタンとの境界は明瞭ではなく、組成は深さ方向に滑らかに移行していた。これらの結果は、電子線回折によっても支持された。
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