1994 Fiscal Year Annual Research Report
非コラーゲン性タンパク質とアパタイトの複合化に関する基礎研究
Project/Area Number |
06771804
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 聡 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (40227898)
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Keywords | ハイドロキシアパタイト / 非コラーゲン性タンパク質 / 複合材料 / エピタキシ- / 結晶成長 |
Research Abstract |
本研究では、オステオネクチンなどの非コラーゲン性タンパク質とアパタイトの複合化の基礎研究として、オステオネクチン、グラタンパク質、リンタンパク質などの非コラーゲン性タンパク質に特有なジカルボキシル基などの残基とアパタイトの結合様式を結晶化学的な手法により明らかにすることを目的とした。具体的にはこれらの残基とアパタイトの間の結合様式を、アパタイト上に非コラーゲン性タンパク質に特有な残基を含む比較的単純な有機化合物をエピタキシャル成長させ、両者間の結晶学的方位関係をX線回析法、偏光顕微鏡法により明らかにした。 まず、モネタイトを出発原料として水熱法によりハイドロキシアパタイトの単結晶を合成した。得られたハイドロキシアパタイト単結晶は、c軸方向に伸長した六角柱状の長さが最大で約2mmの無色透明な結晶であった。最も支配的な結晶面は{100}面であり、今回はこの面上においてエピタキシャル成長実験を行った。ハイドロキシアパタイト単結晶をカルボキシグルタミン酸の飽和溶液中に吊るし、これらを40℃の恒温層中に置いた。ゆっくりと温度を37℃まで低下させ、カルボキシグルタミン酸をハイドロキシアパタイト単結晶上に析出させた。ハイドロキシアパタイト単結晶とカルボキシグルタミン酸結晶の方位関係をX線回析法、偏光顕微鏡法で測定した。得られた方位関係は一通りではなく、接合する面と、面内の方向で最大で24通りの組み合わせが考えられた。これより、カルボキシグルタミン酸はハイドロキシアパタイトの{100}面上に対しては37℃ではエピタキシャル成長し難いと考えられた。また、比較的出現確率の小さいハイドロキシアパタイトの{001}面上において、カルボキシグルタミン酸が容易に成長することから、カルボキシグルタミン酸は、ハイドロキシアパタイトの{001}面上においてエピタキシャル成長する可能性が示唆され、今後検討が必要であると思われる。
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