1994 Fiscal Year Annual Research Report
就寝時の義歯撒去が持続的圧力による義歯床下組織の初期変化に及ぼす影
Project/Area Number |
06771815
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森 慎吾 岡山大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30252993)
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Keywords | 持続的圧力 / 義歯床下組織 / 義歯撤去 / ラット |
Research Abstract |
15週齢のウイスター系雄性ラット64匹を各群32匹ずつの義歯装着群と義歯撤去群に分けた。各群の上顎臼歯に金銀パラジウム合金製のメタル・フレームを接着性レジンを用いて装着し、これを維持装着として、義歯床下組織に対して規定した大きさの持続的圧力(0.7gf/mm^2)を加える可撤性の義歯床を装着した。義歯装着群は昼夜義歯を装着し、義歯撤去群は毎朝義歯を装着し、12時間後の夜に義歯を撤去した。義歯および義歯床下粘膜の清掃は毎朝行い、義歯床装着の2,4,7,10および14日後に、各群の動物の5匹ずつを屠殺して口蓋組織を採取し、通法に従ってパラフィン包埋した。第1臼歯部において頬舌的な4μmの切片を作成し、ヘマトキシリン-エオジン染色を施して光学顕微鏡下で観察した。また、各群の残る7匹ずつの動物に対して、自作の荷重変換器を用いて、持続的圧力を実験動物の口腔内において直接測定し、義歯撤去が義歯床下組織に惹起される組織変化に及ぼす影響について、持続的圧力の大きさとの関連において検討を加えた。 その結果、義歯装着群では、持続的圧力の大きさは経時的に急速に減少し、義歯床装着2日後には上皮突起の短縮および粘膜固有層の圧扁が認められ、7日後には骨面において多数の破骨細胞が認められた。7日後以降、持続的圧力の減少の程度は軽減し、10日後にはこれらの組織変化は回復の傾向を示し、14日後には骨面に骨芽細胞の出現が認められた。これに対して義歯撤去群では、朝の義歯床装着時の持続的圧力の大きさは観察期間を通じてほとんど変化することなく、義歯床下の上皮組織、粘膜固有層ならびに骨組織のいずれにおいても病理組織学的変化は認められなかった。 以上のことから、義歯撤去は、義歯床を介して加えられる持続的圧力によって義歯床下組織に惹起される変化を予防し、義歯床下残存組織の保全に対して効果を発揮することが示唆された。
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