1994 Fiscal Year Annual Research Report
界面開始重合の概念を取り入れた新しい接着ブリッジ用プライマー処理に関する研究
Project/Area Number |
06771830
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平 曜輔 長崎大学, 歯学部, 助手 (40226725)
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Keywords | 接着ブリッジ / 接着 / エナメル質 / 金属 |
Research Abstract |
本研究では接着ブリッジを想定し、エナメル質と金属に分けてそれぞれのレジン接着性に関する検討を行った。市販品以外にMMAをTBB触媒で重合させるレジン系合着材と各種プライマーを試作し、熱サイクル試験による接着耐久性の評価と示差走査型熱量計(DSC)を用いたレジン重合のモデル実験を行った。エナメル質に関しては表面を10%リン酸でエッチングした後、アセトン中にきわめて微量の銅塩を含有するプライマーの効果を調べた。銅塩の塗布は接着強さの耐久性を全般的に向上させたが、その程度は銅塩の種類によって異なっていた。DSC測定の結果からは、ある濃度範囲で銅塩による硬化時間の短縮が観察され、接着界面からの重合の開始が接着耐久性と深く関わっていることが示唆された。特に2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸銅は他の機能性モノマーとの併用効果も認められ、4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物と併用した場合、接着強さの耐久性は市販品よりも優れていた。金属接着に関してはTypeIV金合金、金銀パラジウム合金、コバルト-クロム合金、純チタンの4種類を用いた。接着強さの耐久性における各種機能性モノマーの効果は合金の種類によって異なっており、カルボン酸系モノマーやリン酸系モノマーは非貴金属合金に、微量のチオリン酸系モノマーは貴金属合金に対して有効であった。これに対し長鎖メチレン基を有するリン酸系モノマーとチオリン酸系モノマーの両方を含むプライマーは全ての合金で有効であることが分かった。またプライマー中への過酸化ベンゾイルの添加と加熱処理によって接着耐久性がさらに向上すること、重合開始剤系では、BPO/アミンやBPO/アミン/スルフィン酸系触媒よりもTBB触媒が有利であることから、金属の接着に関してもレジン-金属間の化学的相互作用以外に、レジン自体の重合が関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)