1994 Fiscal Year Annual Research Report
補綴物に応用される金属への口腔内細菌の付着機序に関する研究
Project/Area Number |
06771865
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
太宰 三男 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (10207269)
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Keywords | 補綴材料 / 吸着実験 / ゼータ電位 / 静電的相互作用 |
Research Abstract |
補綴材料表面に対する口腔内細菌の吸着の機序を明らかにすることを目的とし、in vitroにおいて補綴材料への口腔内細菌の吸着実験を行い,細菌と補綴材料のゼータ電位を測定し,それらの相互関係の究明を試みた。 I.方法 被験材料に歯科用金属(金銀パラジウム合金,白金加金合金,18k金合金,陶材焼付用合金,純チタン JIS規格2種)に加えて焼付用陶材,レジン(光重合型硬質レジン、義歯用アクリリックレンジ)を用いた。本学衛生学講座保存のStreptococcus sobrinus6715株,Streptococcus mutans Ingbritt株,Streptococcus sanguis ATCC10556株,Streptococcus salivarius ATCC9759株,Actinomyces viscosus T14V株を供試菌株とした。吸着実験は材料プレートを1枚ずつ菌懸濁液(O.D.=0.3,リン酸緩衝生理食塩液,pH7.0)中に浸漬し,rotatorにて6rpmで37℃,60分間回転させた。プレート表面への細菌の吸着状態は走査電子顕微鏡で観察した(x6000)。ゼータ電位測定では菌体表面の電位を顕微鏡式電気泳動装置で測定し,陶材およびレジン(平板状材料)の表面電位の測定には電気泳動光散乱光度計を用いた(リン酸緩衝生理食塩液,pH7.0)。 II.結果と考察 吸着菌数とゼータ電位の実験結果から,ゼータ電位が大きな負となる菌株ほど材料への吸着菌数が少ない傾向が認められ,またゼータ電位が大きな負の傾向を示した材料ほど同一菌株における吸着菌数が多くなる傾向が認められた。菌株のゼータ電位が負に小さく,材料のゼータ電位が負に大きいものほど吸着菌数が多くなることが明らかになった。これらの研究成績は理論的背景との一致が認められた。 以上のことから補綴材料表面に対する口腔内細菌の吸着には,静電的相互作用が関与していることが明らかとなり,ゼータ電位が陶材やレジンなどの補綴材料への口腔内細菌の吸着現象の重要な因子であることが示された。
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