1994 Fiscal Year Annual Research Report
新しい粘膜厚さ測定装置を用いた義歯装着後の顎堤粘膜の厚さの変化に関する研究
Project/Area Number |
06771879
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
井上 義久 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80203264)
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Keywords | 顎堤粘膜の厚さ / 超音波 |
Research Abstract |
1)目的 義歯装着後の診査は咬合の診査,疼痛や違和感などの問診に重点がおかれ,経時的な顎堤粘膜の変化や顎骨の吸収について定量的な経過を追った報告は少ない.その結果,長期間義歯を使用した場合,フラビ-ガムや下顎顎堤の著しい吸収が生じることがある.これは,顎堤粘膜の肥厚や顎骨吸収にともなう形態変化が早期に発見されないためであり,このような問題点を解決するため,まず,顎堤粘膜の厚さに着目し,非観血的に顎堤粘膜の厚さが測定可能な測定装置SDMを用いて,無歯顎患者における全部床義歯装着後の顎堤粘膜の厚さの変化について経過観察を行ない,顎堤粘膜の肥厚や顎骨吸収に伴う形態変化の早期発見の糸口を探ることを目的とした.実際に全部床義歯を装着している患者の欠損部顎堤に本装置を用いて,平田らが行なった測定部位を基準にして顎堤粘膜厚さを測定し,義歯装着前の計測結果と比較検討を行なった. 2)結果 全部床義歯装着後における欠損部顎堤粘膜厚さの変化を調べるため,被験者10名に義歯装着前の粘膜厚さを測定した後,通法にて製作した義歯を装着後1,2,3,4週間および1ヶ月後に,義歯床の適合,咬合状態,疼痛の有無を診査し,各測定部位の粘膜厚さを測定して義歯装着前の測定値と比較した結果,現時点では顎堤粘膜の肥厚や歯槽骨の吸収を思わせる顎堤粘膜厚さの急激な変化はどの測定部位でも認められなかった. しかしながら,現在の経過観察期間は1ヶ月と短かいため,結論を出すには今後さらに義歯の適合性,咬合状態および疼痛の有無と顎堤粘膜厚さの変化の関連性を長期にわたり経過観察を行なう必要があると考えられた.
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