1994 Fiscal Year Annual Research Report
義歯に対する心理的適応状態の評価スケールの開発と標準化
Project/Area Number |
06771883
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
竹内 一夫 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70201605)
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Keywords | 心理検査 / 歯科治療 / 可撒性義歯 / 患者心理 / 質問紙法 / 項目分析 |
Research Abstract |
義歯への適応過程に深く関与する患者の義歯に対する心理的な要素をとらえて治療の指針を得る目的で,質問紙法・義歯適応評価スケールを試作したるこの質問紙は,患者の義歯に関する経験や行動,臨床的な訴え,義歯への心理的な適応状態などを問う42項目の質問から構成されている. 本学補綴科外来を受診した義歯装着者の中から無作為に抽出した被験者を対象にして得られた質問紙の回答結果を数量化し,統計解析を行った.結果を以下に示す. 1.42項目の総得点と各項目の得点との関係から,この質問紙によって測定される心理的な要素の概念と関連が高い18項目を選択し,これらを最終尺度とした. 2.18項目の総得点を基準としてG-P分析を行った結果,すべての項目で上位25%群と下位25%群との間に有意差(p<0.01)が認められた. 3.最終尺度の信頼性については,Cronbachのα係数では0.99と高い信頼性が認められた.また,折半法による第1群と第2群の相関は0.97であった.これらは,測定される概念の内的一貫性が高いことを意味する. 4.18項目の総得点と最大の相関(r=0.83)を示した項目は,「義歯への抵抗感」であった.したがって,この項目は本質問紙によって測定される心理的な要素を代表する概念であると解釈できる. 5.男女の得点間には有意差がみられなかった.また,年齢と得点との間にも有意な相関をみなかった.スコアの標準化に際しては,これらの要素を考慮に入れなくてもよいことになる. 6.歯科医師による患者の評価と得点の間に臨床的な関連を認めたが,サンプル数が少ないのでさらに追跡調査が必要である.
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