1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06771884
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
町野 敦 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70261021)
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Keywords | 加齢 / 無歯顎 / 咀嚼能力 / 咀嚼運動 / 舌の運動能 |
Research Abstract |
加齢と歯牙の有無が、高齢者の咀嚼機能に及ぼす影響を捉えることを目的とする。 愛知学院大学歯学部付属病院補綴科において上下全部床義歯を製作した高齢無歯顎者群と、これと年齢分布がほぼ等しい高齢有歯顎者群および、いわゆる健全有歯顎者群を対象として、咀嚼能力・咀嚼運動・舌の運動能力を測定して、各群を比較した。咀嚼能力の判定には、篩分法を用いた。咀嚼運動は、シロナソグラフアナライジングシステムを用いて観測し、咀嚼経路と咀嚼時間について検討した。舌の運動能力は、直径約13mmの小球を口腔内で約14mm可及的に速く左右に移動させる反復運動に要する時間により評価した。結果の概要を以下に示す。1.咀嚼能力:20回咀嚼・10meshの篩径を用いた篩分法の結果では、残留篩上%は高齢無歯顎者群は34.7%、高齢有歯顎者群は18.6%、成人有歯顎者群は8.5%だった。2.咀嚼経路:側方移動量の平均値は、成人有歯顎者群、高齢有歯顎者群、高齢無歯顎者群の順に大きくなる傾向を示したが、3群の差はほとんどなかった。咀嚼周期時間の平均値は、高齢無歯顎者群、高齢有歯顎者群、成人有歯顎者群の順に小さくなった。高齢無歯顎者群では、殊に咬合相時間が長くなった。3.舌の運動能力:反復運動の周期時間は、高齢無歯顎者群では973.2ms、高齢有歯顎者群は764.3ms、成人有歯顎者群は512.2msだった。4.咀嚼能力と、咀嚼運動および舌の運動能力の各計測項目都の間には関連性が認められた。5.以上は、年齢および歯牙の有無が、咀嚼機能に影響を及ぼすことを示すものといえるが、その影響の程度は、各計測項目で異なっていた。6.高齢者や無歯顎者の咀嚼機能の様相は若年の有歯顎者とは異なるため、咀嚼機能を評価する際には加齢と歯牙の有無の2要素を加味して評価する必要があると考える。
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