1994 Fiscal Year Annual Research Report
転移性ヒト口腔由来扁平上皮癌細胞株の浸潤・転移機構の解析
Project/Area Number |
06771913
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
茅田 義明 広島大学, 歯学部, 助手 (80214568)
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Keywords | 浸潤 / 転移 / 扁平上皮癌株 / MMP / TIMP / 口腔癌 |
Research Abstract |
浸潤・転移能の異なるヒト口腔由来扁平上皮癌株(HNOS,SAT)を用いた研究により以下の知見を得た。高転移性株HNOS(尾静脈内投与により肺転移能を有し,インベイジョンアッセイにより高浸潤性)はノーザンブロット法による解析の結果弱いMMP-2の発現と比較的強いMMP-9の発現を認めたがTIMP-1の発現を認めなかった。一方,非転移性株SAT(非転移性,低浸潤性)ではMMP-2の発現は強くMMP-9の発現は弱かった。TIMP-1の発現は強かった。このように両株の浸潤・転移能の差異はTIMP-1の発現の有無による可能性が考えられたのでHNOS株にTIMP-1遺伝子を導入し浸潤・転移能に及ぼす影響を検討した。TIMP-1遺伝子導入によるウェスタンブロットでTIMP-1蛋白質分泌活性の確認されたサブクローンHNOS-T9,10,12,18を得た。いずれのサブクローンもTIMP-1遺伝子導入によってMMPs活性に変化の認められないことをゼラチンザイモグラフィーによって確認した。インベイジョンアッセイによる浸潤能の解析と尾静脈内投与による肺転移能の解析ではいずれのサブクローンも親株のHNOSに比して明かな浸潤・転移能の低下が認められた。このようにHNOS株の高浸潤性、高転移性の形質はTIMP-1の発現を欠いていることに由来している可能性が強く示唆された。逆にSAT株はTIMP-1を強く発現しているが故に低浸潤性,非転移性である可能性が高い。このように両株で認められるTIMP-1の浸潤・転移における役割が広く口腔癌一般に共通した現象であるか否かを更に検討中である。またTIMP-1遺伝子導入やTIMP-1活性を高める物質の浸潤・転移抑制への臨床応用についても検討する予定である。
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Research Products
(1 results)