1994 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性人工細胞外マトリックスによるヒト歯胚由来細胞の三次元構築
Project/Area Number |
06771923
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
林 英司 徳島大学, 歯学部, 助手 (50173000)
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Keywords | ヒト歯乳頭由来細胞 / 温度感受性ポリマー / スフェロイド / レクチン染色 |
Research Abstract |
本研究は、in vitroにおける歯の形態形成機構を解析するために温度感受性ポリマーとI型コラーゲンを混和した人工細胞外マトリックスを用いてヒト歯乳頭由来細胞の三次元球状凝集細胞塊(スフェロイド)の形成を試みた。さらに形成されたスフェロイドがより生体に類似した歯胚の器官形成モデルとなりうるかについて組織化学的に検討した。 1)ヒト歯乳頭由来細胞の温度感受性ポリマーとI型コラーゲンを混和した人工細胞外マトリックスによるスフェロイドの形成。 10%牛胎児血清を含むDMEM培地にて培養している2ないし5代目のヒト歯乳頭由来細胞を温度感受性ポリマーとI型コラーゲンを種々の比率に混和したディッシュ上にまき、37℃、5%CO_2、95%空気中にて3日間培養した。その後、ディッシュ面積あたりの細胞接着率を測定後、下限臨界共溶温度(30℃以下)にもどし、接着した細胞の剥離率を求めた。その結果、3種類の比率で混合した人工細胞外マトリックスにおいてスフェロイドの形成が可能であることが明かとなった。 2)ヒト歯乳頭組織と形成されたスフェロイドにおけるレクチン染色による組織化学的検討 採取したヒト歯乳頭組織と形成されたスフェロイドについてレクチン染色(WGA、ConA、RCA-1、SBA、DBA、UEA-1、PNA)を行い、光学顕微鏡的に観察した。その結果、ヒト歯乳頭組織はWGA(++)、ConA(+)、RCA-1(+)、SBA(+)、DBA(-)、UEA-1(-)、PNA(-)であった。しかも、この結果は他の患者より採取したヒト歯乳頭組織においても同様な結果を示した。さらに形成されたスフェロイドにおいても同じ結果が示された。 本研究により、ヒト歯乳頭由来細胞のスフェロイドを形成することができ、さらに、形成されたスフェロイドが歯乳頭組織に類似したレクチン染色性を示した。また、われわれは既にヒト歯乳頭由来細胞が単層培養系の、ある条件下において石灰化を誘導することを見いだしている(現在、投稿中)。すなわち、ヒト歯乳頭由来細胞がin vitroにおいても石灰化能を維持してことや本研究の結果などから、スフェロイドが生体に類似した歯乳頭組織の器官モデルとなりうる可能性が示唆された。
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