1994 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲン固定化ポリエチレンインプラント・多孔質体複合体の歯肉付着性の研究
Project/Area Number |
06771964
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
葛原 武 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (40234439)
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Keywords | 歯肉付着 / コラーゲン固定化 / ポリエチレンインプラント / ポリエチレン多孔質体 / プラズマ処理 |
Research Abstract |
(1)インプラント体の準備:直径4mm、長さ8mmのポリエチレンインプラント体の上部約3mmに、ポリエチレンスポンジを結合させた。これにグロー放電によるプラズマ処理を行い、アクリル酸をグラフト重合させた後、水溶性カルボジイミドにてコラーゲン分子を共有結合させた。これをコラーゲン固定化群とし、未処理のものを対照群とした。 (2)動物実験:ビ-グル成犬、3匹を用い、右側下顎臼歯部を抜歯して3カ月間治癒を待ち、右側下顎臼歯部粘膜を剥離し、下顎歯槽骨にインプラント窩を2カ所形成し、前方部に対照群、後方部にコラーゲン固定化群を埋入した。そのまま粘膜を被覆、縫合した。1カ月後、インプラント体直上部の粘膜を約直径5mm切開し、材料を露出させ、肉眼的に経過観察し、さらに1カ月後、屠殺し、ホルマリン固定して軟組織部分のみをパラフィン包埋し、4μmの組織切片を作製し、ヘマトキシリン-エオジン染色を施して観察した。 (3)観察結果:肉眼的観察;インプラント体直上部の粘膜を切開し、材料を露出させた後、対照群は3例とも感染し、内1例は粘膜が大きく破れて材料が排出した。固定化群は1例が感染し、2例は1カ月後には粘膜が再生し、創面は閉鎖した。;組織学的観察;対照群は多孔質体内部に膿瘍を形成し、多孔質材料内部には組織の侵入はほとんどみられなかった。固定化群は感染した1例は対照群と同様の所見であった。1カ月後には粘膜が再生し、創面は閉鎖した2例は、上皮の下部増殖はみられないものの、材料周囲には炎症性細胞浸潤がみられ、一部膿瘍を形成し、組織侵入もあまりみられなかった。 (4)考察:今回の実験は例数も少なく、期待された結果は得られなかった。それだけ口腔内に露出させることは困難なことと思われた。今後実験系を改良して再実験を行ってゆく予定である。
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