1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト口腔癌における癌退縮抗原遺伝子(MAGE)の発現とその生物学的意義
Project/Area Number |
06771977
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
長尾 由実子 久留米大学, 医学部, 助手 (90227992)
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Keywords | 悪性腫瘍 / 酵素免疫測定法(ELISA) / PCR / DNA診断 |
Research Abstract |
1.MAGE-41-GST 融合タンパク質に対するウサギ抗血清およびマウスmAbを用いたサンドイッチELISA システムを開発し健常人30例、口腔悪性腫瘍患者66例(術前採取)の血清中のsoluble MAGE-41 タンパク質を定量した。 (結果)ELISAによる抗原の測定系を用いて、492nm での吸光度を測定した。更に、standerd curveを作製して 1ng/ml以上を陽性とすると、口腔悪性腫瘍は30.3%(20/66)と健常人に対して有意に上昇していた(p<0.05)。 2.口腔悪性腫瘍患者26例の腫瘍組織を採取、m-RNAを分離し、c-DNAを合成した。そのc-DNAをテンプレートとしてMAGE-4.41遺伝子の発現をPCR法で確認した。尚、同症例に対してはELISAによる測定も同時に行った。 (結果)PCR法では11.5%(3/26)が陽性と判定されたのに対し、ELISAでは26.9%(7/26)が陽性と判定された。 HLA-A1上のMAGE-1,-3はCTLによって障害される事から癌退縮抗原遺伝子と呼ばれており、同じファミリーのMAGE-41もその意味から癌退縮抗原遺伝子である可能性が示唆される。MAGE遺伝子は各種癌細胞で広く発現されていることがRT-PCRにより明らかにされている。しかし、まだタンパク質レベルでの知見はない。本研究により、MAGE-41抗原が血清中にsoluble proteinの形で存在していることが明らかになり、高感度で特異的に、しかも簡単に患者の血清中からタンパク質レベルで検出可能なことから、診断および免疫治療に有用と思われる。今後は他のMAGEファミリーについても検討する予定である。
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