1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06772000
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森田 学 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40157904)
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Keywords | ヒト歯肉 / 毛細血管内皮細胞 / 分離 |
Research Abstract |
試料として、岡山大学歯学部附属病院または岡山県内歯科医院の患者20名(男性12名、女性8名、年齢19-83歳)から抜歯、および歯周外科時に切除された歯肉組織を用いた。ペニシリンG(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/ml)を含むPBS(-)で試料を洗浄後、メスを用いて約3mmの小片に切断し、再び同緩衡液で洗浄した。細片した歯肉片を0.5%コラ-ゲナーゼ、1%EDTAを含む抗生物質含有MCDB107培地に37℃、1時間浸漬した。歯肉片を前述の緩衝液で3回洗浄した後、20%FBSを添加したMCDB107培地に移し、薬匙で歯肉片を擦過し、細胞を遊離させた。遊離した細胞を遠心し、増殖培地9.6ml(10%FBS、75μg/mL内皮細胞成長因子、30μg/mLヘパリン含有MCDB107培地)に懸濁した。この細胞をTypeIコラーゲンでコートした96ウェルプレートに、1ウェルあたり100μL分注し、5%炭酸ガス存在下37℃で培養した。コンフルエントに達した細胞のうち、単層敷石状配列を呈し、かつ、他細胞の混入が認められないウェルの細胞を、以降継代培養した。 血管内皮細胞の同定は、以下の4項目で確認した。(1)単層敷石状配列;コンフルエント時の細胞を位相差顕微鏡下で観察した。(2)von Willebrand factorの存在;von Willebrand factorの存在を間接免疫抗体法により観察した。(3)Dil-Ac-LDLの取り込み;蛍光標識されたアセチル化LDLの存在を蛍光顕微鏡下で確認した。(4)血管様網目構造の形成;Matrigel上での血管様網目構造の形成を位相差顕微鏡下で観察した。なおポジティブコントロールとして、正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を、ネガティブコントロールとして、ヒト歯肉線維芽細胞を使用した。 その結果、分離を試みた20例のうち、5例からヒト歯肉毛細血管内皮細胞を分離することに成功した。また、20、30歳代の患者から得られた試料では7例中3例(43%)、30、40歳代では8例中2例(25%)が分離可能であった。しかし、50歳以上の5例からは分離できなかった。
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