1994 Fiscal Year Annual Research Report
在宅要介護老人に対する保健・医療・福祉対策に関する歯科医療的考察
Project/Area Number |
06772025
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
田中 裕希子 明海大学, 歯学部, 助手 (80245167)
|
Keywords | 在宅要介護老人 / 保健・医療・福祉対策 / 歯科保健医療 |
Research Abstract |
本調査は埼玉県下における在宅要介護老人212名(男性88名,女性124名)を対象とした。調査内容は、現在の医療受療状態、介護者の状況、行政サービスに関しての聞き取り調査および口腔診査を行い、歯の状態、軟組織疾患および歯口清掃状態について評価した。寝たきりになった主な原因疾患は、脳卒中が33.5%と最も高かった。現在の医療機関受診状態は訪問看護を含め79.7%が受診しており、内訳は循環系が47.6%、眼科が11.3%の順で歯科は僅か0.9%であった。介護状況に関しては、介護者のいる者が約7.6%、いない者が約24%であった。介護者の問題点としては身体的負担の他、経済的負担があげられた。今後の介護方法については、自宅で介護を望む者が25.4%、行政サービスの利用を望む者が33%いたが、実際の行政サービスの利用状況は約10%と少なかった。これは、サービス内容や方法などが判りにくい点があるためではないかと考えられた。次に口腔診査を行った寝たきり度判定B,Cランクの97名について結果を示す。一人平均喪失歯数は、60歳代18.0本、70歳代21.7本、80歳代24.2本であった。義歯の装着状況は総義歯が多く、上顎52.6%、下顎44.3%であり、上下顎とも未装着の者が30%認められた。口腔機能との関連では、上下顎局部床義歯装着者の77.8%が咀嚼は良好と解凍しており、会話においては100%良好であり、調理形態においては何でも食べられる者が88.9%と義歯装着者の中で最も機能が優れていた。また、咀嚼、会話、調理形態について、義歯装着者と未装着者の間に統計学的有意差が認められた。歯口清掃状態においては「きたない」と判定された者が36.1%であり、指導の必要を認めた。また、歯口清掃回数では、自分で1日1回行う者が多かった。これらの結果からみて、在宅要介護老人に対する口腔保健の重要性がQOLの向上の面からも必要であることが示唆された。
|