1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト由来骨系細胞ならびに歯根膜細胞が産生する骨吸収促進因子について
Project/Area Number |
06772033
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
斉藤 茂 昭和大学, 歯学部, 講師 (20195986)
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Keywords | ヒト骨系細胞 / ヒト歯根膜細胞 / 骨吸収活性因子 / 破骨細胞様細胞 / プロスタグランディン / サイトカイン / デキサメサゾン / インドメタシン |
Research Abstract |
初代培養であるヒト骨系細胞ならびに歯根膜細胞は、最も強い骨吸収活性を有しているといわれているPGE_2以外にもサイトカインの一つであるインターロイキン6(IL-6)をPGE_2と同量程度産生していることが確認された。PGE_2は骨系細胞より歯根膜細胞でより多く産生されているがIL-6ではその逆になっていた。なお同じサイトカインでもIL-1αやIL-1β、IL-2は今回のELISA法では検知出来なかったため、両細胞が産生している上記3つのサイトカインはいずれもごく微量であったか、水溶性のものではなかったと推測される。また両細胞の培養上清の骨吸収はともに強い活性を有しており、特に歯根膜細胞の培養上清に強く認められることから、やはり両細胞が産生している骨吸収活性因子としてはIL-6よりもPGE_2のほうが強いことが示された。またデキサメサゾンで処理した両細胞はPGE_2やIL-6を殆ど産生せず、しかも骨吸収活性も殆ど有していないことが判明した。しかしながら、インドメタシンで処理した場合、両細胞のPGE_2産生能は殆どブロックされたが、歯根膜細胞のIL-6産生能は殆ど変化しなかった。これに伴い、インドメタシンで処理された歯根膜細胞の培養上清はPGE_2を産生していないにもかかわらず、ある程度高い骨吸収活性を維持していた。このことより、PGE_2のみならずIL-6にも骨吸収活性を促進させる作用があるものと推察される。なお破骨細胞様細胞の形成も骨吸収活性とほぼ同様の傾向が見られた。今後は免疫組織化学的手法など別の手段で、両細胞が産生している可能性のある他のサイトカイン(IL-1,IL-2,TGF など)についても検討を進める必要がある。
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[Publications] 中村 靖、斉藤 茂他: "間欠的遠心カガヒト骨系細胞および歯根膜細胞に与える影響" 日本矯正歯科学会雑誌. 54-3(in press). (1995)
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[Publications] S.SAITO.Z.DING et al: "Biological mechanisms of tooth eruption and resorption" EBSCO Media,Birmingham,Alabama, 710 (1995)