1994 Fiscal Year Annual Research Report
経鼻投与による頸部リンパ節への薬物送達に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06772115
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
坂根 稔康 摂南大学, 薬学部, 助手 (50215638)
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Keywords | 鼻腔 / リンパ節 / 分子量 / 脂溶性 / エマルション / リポソーム |
Research Abstract |
1)薬物の物理化学的性質との関係 a)薬物の分子量との関係 InulinとMannitolを用いて検討を行った。分子量の大きいInulinでは血液への吸収性に対してリンパ節への移行性が相対的に増加した。この結果は、小腸などで認められている薬物の分子量とリンパ移行性の関係と基本的に同じであり、分子量の増大にともなって、リンパ選択性が増大することが示された。 b)薬物の脂溶性との関係 脂溶性薬物のHydrocortisone(HC)を用いて検討した。HCの血中濃度の時間推移はHCの高い膜透過性を反映し、リンパ節中濃度の時間推移も血液濃度の時間推移とほぼ同様の傾向が認められた。しかし、血液、リンパ節への移行性には水溶性薬物mannitiolの場合と大きな違いは認められず、リンパ節への移行性と脂溶性との間には密接な関係は認められなかった。 2)剤型修飾によるリンパ節への薬物送達 a)O/W Emulsion HCをemulsion製剤として投与した場合、水溶液投与の場合と比べて、吸収速度が増大したことが明らかとなった。しかし、リンパ節中濃度の時間推移には血中濃度の時間推移とほぼ同様の変化が認められただけで、リンパ指向性の向上は認められなかった。 b)Liposome Inulinをliposome製剤として投与した場合、血液への移行性は低下したのに対し、リンパ節への移行性は逆に上昇し、水溶液薬物をliposome製剤として投与することにより、リンパ指向性を付与しうることが明らかとなった。Liposomeの脂質の血液、リンパ節への移行は認められず、さらに、inulin水溶液にliposomeを添加した場合にも同様の変化が認められたことから、liposome製剤として投与することにより生じるこれら特徴的な変化は、鼻腔内に存在するliposomeの構成脂質の何らかの影響が原因であることが示唆された。
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