1994 Fiscal Year Annual Research Report
補体フラグメントC4aに対する特異的なレセプターの遺伝子クローニング
Project/Area Number |
06772122
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 祐介 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (10250466)
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Keywords | 補体 / アナフィラトキシン / C4a |
Research Abstract |
1.C4aレセプターを多く発現する培養細胞のスクリーニング:C4aの生理活性(細胞内Ca^2動員反応)および蛍光標準したC4aの細胞に対する結合活性を指標にして,種々のヒト血球系培養細胞のスクリーニングを行ったが,C4aレセプターを発現する細胞は見つからなかった。そこで,分化誘導剤でマクロファージ化させた単球系の細胞に対して同様なスクリーニングを行ったところ,C4aレセプターはジブチリルcAMPで分化させたTHP-1に発現することを初めて見い出した。 2.C4aレセプターを介した細胞応答:上記の細胞に対するC4aの刺激活性について検討したところ,C4aはアナフィラトキシン(C3a,C5a)としての活性(活性酸素生成反応やリソソーム酵素放出など)を示さないことがわかった。このことから、C4aレセプターを介して刺激伝達経路は他のアナフィラトキシンレセプターとは異なる可能性が示唆された。 3.C4aレセプター遺伝子の発現クローニング:分化させたTHP-1からcDNAを調製して発現ベクターに組み込み,遺伝子ライブラリーを構築した。このライブラリーをCOS7細胞に導入し,その細胞膜上に蛋白質を発現させた後,蛍光標識したC4aと反応させて対照の細胞に比べてより強い蛍光を発する細胞集団をFACSを用いて分別した。この細胞群からプラスミドDNAを回収して増幅した後、再びCOS7細胞に導入して同様な操作を行った。最終的に数種類のcDNAを単離することに成功した。しかしながら,これらの塩基配列と既知の遺伝子との相同性などの解析を行ったところ,これらはC4aレセプターをコードする新規遺伝子ではなかった。現在,他のクローニング法の適用について検討中である。
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