1994 Fiscal Year Annual Research Report
ムスカリン受容体の脱感作機構における内在性蛋白質(IPFα)の役割の解明
Project/Area Number |
06772147
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
黄 洋一 昭和大学, 薬学部, 助手 (50228855)
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Keywords | ムスカリン受容体 / 脱感作 / 内在性タンパク質 / 放射性リガンド / 統合実験 |
Research Abstract |
脱感作現象はアゴニストにさらし続ける時間によって短時間型および長時間型に分類されるが、後者は多くの場合細胞膜上の受容体数の減少を伴うことが報告されている。一方、我々がモルモット回腸縦走筋の可溶性画分に見いだした内在性タンパク質(Inhibitory Protein Factor α;IPFα)は、ムスカリン受容体に対する放射性リガンド結合の親和性には影響せず、その結合部位を減少させることから細胞膜上の受容体数の調節に関与する可能性がある。本研究では、脱感作に伴う受容体数の減少にIPFαが関与するか否かについて検討した。 ムスカリン受容体の脱感作により、活性薬に対する細胞の刺激応答性(細胞内Ca^<2+>濃度上昇など)が減弱する。IPFαが活性薬による細胞内Ca^<2+>濃度上昇を減弱するか否かについて明かにするため、まず、CAF100型カルシウム蛍光測定装置による細胞内Ca^<2+>濃度変化の測定法について検討した。本測定装置は、本来、細胞懸濁液を測定用試料とするため、単離平滑筋細胞を用いて検討したがアゴニストに対する反応性を保持した細胞を得ることが困難であった。そこで、なるべく平滑筋組織本来の性質を保持した細胞のカルシウム動態を解析するため、回腸縦走筋ミンスを用いた細胞内Ca^<2+>濃度の測定法を開発した。現在、IPFαの作用について検討している。 IPFαの細胞内含量は全可溶性タンパク質のおよそ6.5%であり、このような主要な成分が細胞内で受容体に作用しこれを調節するという機構は考えにくい。そこで、IPFαの作用機序としては何らかの機構により細胞外に遊離されムスカリン受容体に作用する可能性が考えられた。今回、回腸縦走筋のミンスを種々の条件下でカルバミルコリンにり刺激したが、IPFαの遊離は確認できなかった。しかし、細胞障害を伴う患者においてIPFαは細胞外に遊離すると考えられることから、病態下における組織の機能的変化にIPFαが関与している可能性がある。これについては今後の検討としたい。 遠心洗浄法による検討の結果、IPFαのムスカリン受容体に対する作用は可逆的であることが明かとなった。このことからIPFαの阻害作用は、酵素反応に於ける非競合的阻害様式に類似すると考えられた。現在、IPFαとムスカリン受容体との相互作用の、速度論的モデルについて検討している。
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Research Products
(1 results)