1994 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞由来の誘導性一酸化窒素合成酵素(NOS)の反応機構と制御機構の解明
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06772162
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
小森 由美子 名城大学, 薬学部, 助手 (60162070)
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Keywords | 一酸化窒素合成酵素 / NOS / 血管内皮細胞 / NADPH |
Research Abstract |
1.ウシ大動脈より剥離、培養した内皮細胞を継代培養し、可溶性画分と膜画分のconstitutiveなNOS活性を測定したところ、活性の約80%が膜画分に存在していたため、さらに酵素の可溶化条件を検討した。各種界面活性剤のうち、Zwittergentを用いたとき最も効率よく可溶化を行うことができた。 2.血管内皮細胞の大量培養条件を検討するため、Cytodex3、Biosilon、Collagen spongeを用いてスピナ-ボトル中で細胞を培養した後、コラ-ゲナーゼによる細胞の回収を試みた。その結果collagen spongeが最も効率よく多量の細胞を得るのに適していた。 3.誘導性NOS(iNOS)の性質を比較するため、ラット肺胞マクロファージ(Mφ)を培養し、酵素の誘導条件をLPS、IFN-γを用いて検討した後、ADP-Sepharose、ResourceQカラムによりiNOSの精製を行った。精製したiNOSについてその反応生成物の検討を行ったところ、反応系に添加した基質アルギニンが全て消費された後にも反応液中のNADPH量は引き続き減少し、アルギニン未添加の系で報告されている過酸化水素、あるいはスーパーオキシドの生成(ESR法による)が観察された。この結果は従来報告されているNOSによる反応生成物シトルリンとNADPH消費の比率(1:1.5)が反応時間にともなって変化する可能性を示唆しており、現在提唱されているNOSの反応機構については検討を加える必要があると考えられた。 本年度の研究では内皮細胞由来のiNOSの反応機構を検討するまでに到らなかったが、Mφ由来のiNOSで上に述べた重要な知見が得られたため、今後は内皮細胞由来のiNOSについても反応機構を解明し、また未だにその役割が明らかでないコファクターBH_4についても検討を加えてゆきたい。
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