1994 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子ツールの開発と応用によるCa放出チャンネルの機能部位構造の解析
Project/Area Number |
06772182
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
國安 明彦 熊本大学, 薬学部, 教務員 (90241348)
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Keywords | Ca放出チャンネル / リアノジン受容体 / サソリ毒 |
Research Abstract |
筋収縮は細胞内Ca動員によって引き起こされるが、その中心的役割を担っているのがCa放出チャンネルである。このチャンネルは近年リアノジン受容体として同定され、その活性化および調節機構について研究が進められている。最近、申請者は中国サソリの産生する毒が骨格筋本受容体を強力に活性化することを見いだした。本研究において、このサソリ毒中の活性成分を明らかにし、サソリ毒によるチャンネルの活性化機構と活性調節部位の同定を目指した。 中国産サソリ(Buthus martensi)の粗毒画分を逆相系HPLCにより分画を行った。各画分につき骨格筋筋小胞体膜標品を用い、チャンネルの開口状態に結合し、固定すると考えられている[^3H]リアノジンの結合活性測定を行い、活性化を引き起こすかを調べた。この結果、強い活性化を引き起こす画分を得、分子量7kDaの単一タンパク質成分から成ることがわかった。この分子をプロティンシークエンサーによりアミノ酸配列分析を行い、N末端より約25残基を決定した。既に報告のある他のイオンチャンネルの阻害するサソリ毒とホモロジーの比較を行った結果、興味深いことに電位依存性Naチャンネルを阻害するアフリカ産サソリの毒成分の一つと非常に高い相同性を示した。さらに、チャンネルの活性化機構について、[^3H]リアノジン結合活性を基に詳細に調べた結果、ATPやカフェインとは異なる機構で活性化していることが分かった。また、膜画分より可溶化精製した本受容体についても同様のことを行い、この毒の効果を調べた結果、精製受容体にはまったく効果は無かった。したがって、受容体に直接、結合して作用するものではなく、何か未知の分子を介して活性化することが明らかとなった。このことより、骨格筋細胞でのCa放出は単にCaまたは脱分極刺激だけでなく、活性調節因子によっても制御されている可能性が示された。
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