1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミンH_2遮断薬による中枢性副作用発現機構とその危険因子の薬物動態論的解明
Project/Area Number |
06772185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 康次郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (70174787)
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Keywords | H_2受容体遮断薬 / 中枢毒性 / シメチジン / ラニチジン / ニザチジン / フェモチジン |
Research Abstract |
1.H_2受容体遮断による中枢性痙攣発現機構の解明 (1)H_2受容体遮断薬ラニチジンを各種抗痙攣薬(ムシモール、アミノオキシ酢酸、ジアゼバム、MK801)により前処理したマウスの尾静脈から定速投与し、間代性痙攣薬を発現した時点の脳中薬物濃度を測定して各抗痙攣による痙攣抑制作用を比較した。いずれの薬物もラニチジンによる間代性痙攣を抑制せず、この痙攣がGABAおよびNMDA神経伝達を介していないことが示唆された。 (2)マウスの脳内の各種神経伝達物質(アセチルコリン、セロトニン、GABA、グリシン、グルタメート、カイニン酸、キスカル酸、NMDA、ヒスタミン)受容体をアフリカツメガエル卵母細胞外来性遺伝情報発現系を用いて発現させ、シメチジンによる受容体応答の変調を電位固定法により測定した。シメチジンはGABA受容体応答を抑制したが、そのKi値は臨床使用時の脳脊髄液中シメチジン濃度と比較して100倍程度高かった。H_1受容体を介していると考えられるヒスタミン応答には影響を与えなかった。 2.H_2受容体遮断薬による中枢痙攣の危険因子の解明 (1)H_2受容体遮断薬を直接マウス脳内に投与し、間代性痙攣を誘発するED_<50>を求めた。その値はH_2受容体への結合親和性と相関関係が認められ、この痙攣がH_2受容体遮断作用に由来するものであることが示唆された。 (2)正常および腎障害ラットにシメチジンを尾静脈から定速注入し、間代性痙攣発現時の血漿中および脳中の薬物濃度を測定し、痙攣発現時の脳中濃度、脳中/血漿中濃度比の各種要因による変化を調べた。その結果、シメチジンによる中枢性副作用の危険因子は薬物消失能力の低下による薬物血中濃度上昇および病態による薬物の受容体結合の変化によるものと考えられた。一方薬物の中枢移行性は若干低下したが、総合的には毒性発現の危険性は腎障害により増大した。
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