1994 Fiscal Year Annual Research Report
非ベンゾジアゼピン系抗不安薬のGABA_A受容体の多様性に対する分子薬理学的研究
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06772210
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
廣内 雅明 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (70181196)
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Keywords | GABA_A受容体 / ベンゾジアゼピン受容体 |
Research Abstract |
ベンゾジアゼピン受容体に結合する薬物は、ベンゾジアゼピン誘導体以外にも多数存在することが知られており、近年では非ベンゾジアゼピン系薬物の開発が主流となりつつある。今回、脳内でベンゾジアゼピン誘導体と相互作用すると考えられるものを検索したなかで甲状腺ホルモンであるサイクロキシンに注目した。同様に、その構造上の類似物質であるトリヨードサイロニンやクロロフェニルアラニンなどについても検討したところ、これらはベンゾジアゼピン受容体結合に著名な変化を与えなかった。サイロキシンについては、異性体であるL体とD体の両方について検討したところ、[^3H]フルニトラゼパム結合をL体は100μMで約20%の阻害効果を示したにすぎなかった。それに対し、D体では強い阻害効果を示し、そのIC_<50>値は約3μMであった。そこで、その阻害様式を検討するためにScatchard解析を行なったところ、最大結合数の低下及び結合親和性の低下の両方が確認され、混合型の阻害様式を示した。次に、GABA_A受容体複合体としてどのような影響があるのかを検討するために、GABA刺激下の^<36>CI^-の流入を測定した。上述の薬物についてそれぞれ検討したが、直接GABA刺激下の^<36>CI^-の流入に影響する薬物は認められなかった。そこで、フルニトラゼパムを用いてベンゾジアゼピン受容体を刺激し、GABA刺激下の^<36>CI^-の流入を増化させた条件下において検討した。その結果、トリヨードサイロニン及びL体とD体の両サイロキシンは、ベンゾジアゼピン受容体によるGABA刺激下の^<36>CI^-の流入の増強効果を元のレベルにまで抑制した。以上の結果より、サイロキシンはGABA_A受容体複合体の機能を抑性的に調節する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)