1994 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルスベクターによる造血細胞へのサイトカイン遺伝子導入と細胞動態の解析
Project/Area Number |
06772222
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
倉田 寛一 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90215038)
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Keywords | アデノウイルスベクター / LacZ / GM-CSF / レセプター / コロニー・アッセイ |
Research Abstract |
平成6年度の研究計画として提出した諸点につき以下の検討を行なった。 (1)LacZ遺伝子を発現する組換えアデノウイルス(Ad)を血球系細胞および付着性細胞を含む各種の細胞株に感染させ,β-galactosidase活性を比濁法,フローサイトメトリーおよび細胞化学的方法により検討した。これにより,ウイルス力価,宿主細胞の接着分子受容体(ビトロネクチン・レセプター)発現量,プロモーター活性依存的に遺伝子が発現されることを明らかにした。また,発現が細胞周期非依存性であること,感染後3-5日目をピークとする一過性であることが明らかになった。従来遺伝子導入困難であったヒトprimary骨髄細胞へも高率に遺伝子導入が可能であった。 (2)マウスに上記のLacZ遺伝子発現Adをを静注し,7日目をピークとする肝・脾・腎・肺組織でのβ-galactosidase発現を検出した。さらに,マウスGM-CSF発現Adを静注感染させ,骨髄および脾臓の骨髄細胞および骨髄巨核球系細胞などの増殖刺激効果を認めた。また,同ベクター感染骨髄細胞のサイトカイン無添加条件下におけるメチルセルロース・コロニー形成を認めた。 (3)ヒトGM-CSFレセプターα,β鎖発現Adを作製し,Jurkat細胞上でのレセプター鎖発現を認めた。現在,primary細胞系におけるこれらの外来性レセプターの機能を検討中である。 以上の結果によりAdベクターによる遺伝子導入がin vitroおよびin vivoの両者において有効であり,感染条件により遺伝子発現量をある程度制御できることを示した。今後は,シグナル伝達分子の遺伝子を発現するベクターを作製し,細胞機能の改変を検討する予定である。
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[Publications] H.Kurata: "GM-CSF receptor:structure,function,and signal transduction" Advances in Biochemistry and Biology of Cells. 3. 111-155 (1994)
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[Publications] 倉田 寛一: "サイトカインとレセプター" 造血因子. 5. 274-287 (1994)
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[Publications] H.Kurata: "Adenovirus-mediated gene transfer:Application to the hematopoietic system" Leukemia. (in press). (1995)
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[Publications] 倉田 寛一: "アデノウイルスベクター(遺伝子治療の展望)" 診断と治療. (in press). (1995)