1994 Fiscal Year Annual Research Report
乳児期ラットにおけるTGF-βの消化・吸収能への影響について
Project/Area Number |
06780011
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
篠原 久枝 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (40178885)
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Keywords | - |
Research Abstract |
乳児期ラットにおける細胞増殖因子の消化・吸収能への影響をTGF-β(Transforming Growth Factor-β)を中心にin vivoにおいて観察した。 まず、EGF(Epidermal Growth Factor)によって腸管内の移動速度の遅延が観察された12日齢ラット(平均体重29.5g)を用いて、TGF-βによる胃内停滞時間や腸管内の移動速度への影響について、^<51>Cr-EDTAをマーカーに用いて観察した。TGF-β投与濃度1.0μg/rat、投与時間45分において、大変興味深いことに、雄ラットに対してはTGF-βは胃内停滞時間や腸管内の移動速度になんら影響を及ぼさなかったが、雌ラットに対しては、胃内に停滞した^<51>Cr-EDTA量は全体量の46.7±2.7%(平均±SE)と雄ラット、または対照群(BSA:Bovine Serum Albumin投与)の2倍量に達しており、有意に胃内停滞時間、また、腸管内の移動速度を遅くしていた。 TGF-α(Transforming Growth Factor-α)については、やはり、1.0μg/ratの高投与群において、投与時間45分、90分で胃内停滞時間と腸管内の移動速度の遅延が観察されたが、性差については、TGF-βほど顕著な差は観察されなかった。 同様にIGF-I,IGF-II(Insurin-like Growth Fctor I,II)ならびにDes(1-3)IGF-Iついても実験を行ったが、有意な差は観察されなかった。これは、腸管におけるレセプターとの関連が推察される。 一方、EGFの抗体(Anti-mouse EGF,neutralizing 250ng EGF)をラットに投与すると、胃内停滞時間には影響しないが、腸管内の移動速度を早めるという大変興味深い知見が得られた。 これら細胞増殖因子の腸管における遺伝子発現や膜消化酵素への影響については、今後の課題である。
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