1994 Fiscal Year Annual Research Report
有機変性シリコーンオイルの界面化学特性と汚れ防止機構に関する研究
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06780032
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Research Institution | Kyoritsu Women's Junior College |
Principal Investigator |
山口 庸子 共立女子短期大学, 生活科学科, 講師 (20201832)
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Keywords | シリコーンオイル / 防汚加工 / 風合い / 新合繊 / 接触角 / 表面特性 / ポリエステル / 表面粗さ |
Research Abstract |
有機変性シリコーンオイルの仕上げ加工剤としての活用をはかるにあたり、洗浄を効率良く行う目的で繊維表面に施される防汚加工の汚れ防止機構に関して、シリコーンオイルの界面活性剤的な改質効果と平滑剤としてのマクロ的な表面改質効果が防汚効果に及ぼす影響について検討した。シリコーンオイルは風合い改良効果の認められた水溶性の有機変性シリコーンオイルとしてアミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイルを使用し、試料布は新合繊をモデルとして、短繊維密度(デニール)が0.4d、0.7d、1.0d、2.0d、3.0d、5.0dと異なったポリエステルフィラメント糸を使用し、織り組織(平織り)、ポリマー組成(普通ポリエステル)が同一の織物6種類を使用した。 (1)短繊維密度の異なった試料布の防汚性評価として、湿式人工汚染布作成用の汚れ成分を汚染浴として使用し、各試料布の汚染状態をKubelka-Munkの式に準じて表面反射率の測定から各繊維に付着した汚れ量として算出比較した結果、短繊維密度の小さい物ほど汚れを吸着しやすい傾向にあることを明らかにした。 (2)シリコーンオイルによる表面コートを行ったポリエステル織物は、未処理布に比較して、コンタクトアングルメーターを使用した接触角の測定結果から高い溌水・溌油効果を示した。また、表面コートを行った繊維表面の粗さ及び摩擦係数(μ)の値は未処理布に比較して非常に低く平滑剤としての効果が大きく防汚性に影響している結果を得た。 (3)天然汚れに準じた防汚性の評価として、顔垢汚巧布と環境暴露布の2タイプの汚染布作成法に準じて、シリコーンオイルによる表面コート効果を評価した結果、顔垢汚巧布は表面の凹凸の最も大きい短繊維密度5.0dのポリエステル布が最も汚れやすく、また、環境暴露布では短繊維密度の最も小さい0.4dのポリエステル布が最も汚れを吸着した。これに対してシリコーンによる表面コート布は高い防汚効果を示し、マクロ的な平滑効果が防汚効果に与える影響が大きいことを明らかにした。今後、帯電防止効果に優れたポリエーテル変性シリコーンオイルと潤滑・平滑剤として優れた改質効果を示すポリエーテル変性シリコーンオイルの比較により防汚効果の要因をより明らかにしたい。
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