1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06780060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 稔 東京大学, 教養学部, 助手 (70241213)
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Keywords | 運動 / 筋活動 / 筋電図 / 低酸素 / 過換気 / 酸素摂取量 / 疲労 |
Research Abstract |
低酸素吸入によって酸素需要供給バランスを供給不足の傾向に変化させることにより、一定の高いパワーを発揮している際の筋活動が変化するかどうかを明らかにすることを目的とした。8名の被験者が通常室内気吸入下(酸素濃度29%,NORM)と低酸素混合ガス吸入下(酸素濃度15%,HYPO)で定パワー制御式自転車エルゴメーターの駆動をそれぞれ8分間行った。HYPOの運動はHYPOでの安静(10分間)の後に行われた。運動強度はHYPOで行った漸増負荷試験の最大到達パワーの70%に設定した(198±21W)。運動中、大腿四頭筋(外側広筋、大腿直筋、中間広筋)より表面筋電図を導出し、RMS値を15秒間隔で求め、筋活動の指標として用いた。安静時の呼吸交換比はHYPO(1.12±0.3)においてNORM(0.88±0.2)より有意に高く、運動開始時のRMS値のすべての筋においてHYPOの方がNORMより有意に低かった。運動中のRMS値増加率は、HYPOの方が有意に高く、運動終了時のRMS値はHYPOとNORMで差が無かった。運動中の分時換気量はHYPOの方が有意に高かったが、酸素摂取量は、運動の前半はHYPOの方が低かった。HYPOにおいて運動開始時の呼吸交換比が高くRMS値が低かったことから、安静時の低酸素吸入によって呼吸性アルカロ-シスになり、緩衡能が増加して筋活動が抑えられたと推察された。運動中のRMS値増加率がHYPOにおいて高かったことより、酸素供給の低下によって筋疲労が促進されることが示唆された。以上より、通常気吸入時においても筋活動が増加していくような高い強度の運動においては、活動筋への酸素供給は過換気などによる呼吸循環系の代償作用によっても補いきれず、筋活動は顕著に増加していくことが示唆された。
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