1994 Fiscal Year Annual Research Report
高周波プロセスプラズマにおける電子の共鳴加速と高密度化
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06780395
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥野 喜裕 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (10194507)
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Keywords | 高周波プラズマ / 共鳴加速 / 電極シース / 電子エネルギー分布 / 高密度プラズマ |
Research Abstract |
本研究では,低気圧高周波プラズマ中の電子を共鳴的に加速させ,プラズマの高密度化を図る新しい手法を提案した。電極面に平行に(シース電界と垂直に)磁界を印加することにより,電子のサイクロトロン運動を利用して,シースと多数回の相互作用を実現する。特に,印可する磁界強度は,電子のサイクロトロン周波数の2倍が,高周波電源周波数に一致するように設定する。すなわち,ある位相でシースにより加速された電子は,次の周期の同位相でのシースで再び加速される。電源周波数が,広く用いられている13.56MHzの場合,この条件を満たす磁界強度は2.4Gと低いことから,ここでは更に50,144,430MHz(それぞれの共鳴磁界:8.9,25.7,76.8G)の電源周波数を用いた。 円筒形高周波電極(直径5cm,長さ10cm)を内径16cmの円筒形ステンレス容器(接地)内に同軸状に挿入し,軸方向に磁界を印加した。作動ガスにはAr,Ne,N_2を用い,それぞれの電源周波数において印加電圧を一定に保って数mTorr以下の圧力で高周波放電を生成した。発光強度ならびにプラズマ密度の印加磁界依存性を調べた結果,それぞれの電源周波数に対応する共鳴磁界でそれらは急激に増加することが確認された。更に,プローブを用いて大まかな電子のエネルギー分布を調べ,シースにより共鳴的に加速された電子の存在を確認した。これらの結果は作動ガスの種類には依存しない。ただし,13.56MHzでは共鳴磁界での発光強度の増加はほとんどなく,また430MHzでは通常の電子サクロトロン共鳴(ECR)に対応する磁界強度で増加が観測されたことから,この手法に関して最適な電源周波数(50〜200MHz程度)が存在することが示唆された。以下のように本研究で提案した手法は,使用する電源周波数に制約はあるものの,低気圧高周波プロセスプラズマを高密度化する上で有用なものであることが実証された。
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Research Products
(1 results)