1994 Fiscal Year Annual Research Report
地下模擬環境下でのベントナイト中の鉄の腐食挙動の研究
Project/Area Number |
06780399
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 完 北海道大学, 工学部, 助手 (60234746)
|
Keywords | 高レベル放射性廃棄物 / 地層処分 / オーバーパック / 腐食 / ベントナイト |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価を進める上で重要な鉄オーバーパック材の腐食挙動を検討するため、粘土中の鉄の腐食挙動の研究を行った。 実験は、粘土試料としてベントナイトを、オーバーパック模擬材として放射化鉄箔試料を用い、放射性同位元素の移行量より鉄箔試料の平均腐食速度とその腐食生成物の見かけの拡散係数を同時に観察することにより行った。本研究補助金の交付により、今年度は従来より行ってきた大気雰囲気下で調製した粘土試料を用いた実験に加え、窒素雰囲気下で調製した粘土試料を用いた実験を行い、酸化還元雰囲気の腐食ならびに腐食生成物の移行挙動に与える影響について検討を加えた。 実験の結果、大気雰囲気及び窒素雰囲気下で調製した粘土中の鉄箔の平均腐食速度はいずれも10^<-6>m/yのオーダーとなり、粘土調製時の雰囲気の違いによる差は認められなかった。一方、あらかじめ黄鉄鉱を酸化させておいた粘土試料を用いた実験では、大気雰囲気下で鉄箔の平均腐食速度が1桁程度大きな値となることを確認した。このことは、大気雰囲気下で調製した試料においては、ベントナイト中に含まれる黄鉄鉱が、調製時に混入した酸素を消費し、結果として十分な還元雰囲気が達成されていたことによるものと考えた。 腐食生成物の移行挙動は、ほとんどの試料で見かけの拡散係数が10^<-14>m^2/s以下となった。しかし、黄鉄鉱の酸化した試料では、大気雰囲気下および窒素雰囲気下のいずれにおいても1桁以上大きな拡散係数が得られた。このことから、鉄腐食生成物の移行は酸化還元雰囲気よりもむしろ黄鉄鉱の腐食に伴うpHの変化などの影響が大きいことを明らかにした。
|