1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06780429
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川西 琢也 金沢大学, 工学部, 助手 (80234087)
|
Keywords | トリクロロエチレン / 有機物塩素化合物 / 土壌汚染 / 地下水汚染 / 拡散 / 拡散係数 / 不飽和土壌 / 表面拡散 |
Research Abstract |
マスバランスの得られる定常法土壌中ガス拡散係数測定装置を作成し,これを用いて土壌中のトリクロロエチレン(以下TCE)の拡散係数を測定した。成果は以下の通りである。 1.定常法拡散係数測定装置の開発:TCEは強力な溶剤であるため,これに耐える材質で拡散係数測定装置を作成した。また,測定に伴う誤差の評価も行った。 2.乾燥した砂・ガラスビーズでのTCE拡散係数の測定:乾燥したガラスビーズ,乾燥した海岸砂(石川県内灘海岸より採取)についてTCE拡散係数を測定した。土壌中での拡散係数の空気中での拡散係数の比である拡散比を算出し,前年度測定した酸素の拡散比と比較したところ,TCEは酸素に対しガラスビーズで数倍,海岸砂で1.5倍となり,表面拡散の影響が認められた。海岸砂については吸着平衡をも測定し,これを基に算出した表面拡散係数は1.54×10^<-8>m^2s^<-1>であった。 3.湿潤状態の土壌中でのTCEの拡散係数:上記の海岸砂および有機物を多く含む畑土壌について湿った状態でのTCEの拡散係数を測定した。土壌への吸着のためか実験開始から定常状態が得られるまでに数日を要し,またデータのばらつきも大きかった。得られた拡散比はオーダーとして酸素の拡散係数とほぼ一致し,土壌との相互作用の拡散係数への影響はさほど見られなかった。乾燥状態で土壌への吸着の影響が大きく湿潤状態で小さいというのは,吸着量に関する既往の研究報告と一致している。 以上の事より土壌中でのTCEの拡散機構については,乾燥状態では分子拡散に加え表面拡散が影響するが湿潤状態では分子拡散が支配的であると考えられる。すなわち,初期の目的の大半は達せられた。今後はデータを蓄積してこれを確認するとともに土壌へのTCEの添加の影響の検討等を通して,拡散機構のさらなる解析を進める予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 川西琢也: "稲わらを利用した脱窒法" ケミカルエンジニアリング. 39. 473-476 (1994)
-
[Publications] 川西琢也: "蒸気透過法によるアルコールの濃度プロセスのモデル化" ケミカルエンジニアリング. 39. 717-720 (1994)
-
[Publications] 川西琢也: "土壌侵透水中窒素の稲わらを利用した除去法について" 月刊「水」. (印刷中). (1995)