1994 Fiscal Year Annual Research Report
酵素による炭素環合成法構築の可能性:アミノ配糖体アグリコンの環形成酵素の精製
Project/Area Number |
06780461
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山内 敬明 東京工業大学, 理学部化学科, 助手 (30242259)
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Keywords | 二次代謝 / アミノグリコシド抗生物質 / 酸化還元酵素 / グルコース / 標識化合物 / 酸素-18 |
Research Abstract |
1)ネオマイシン生産放線菌であるStreptomyces fradiae無細胞抽出液からの酵素の精製に関しては、イオン交換やNAD類似構造をもつ色素をリガンドとした各種クロマトグラフィー等を検討しているが、ポリアクリルアミド電気泳動上で単一のバンドをあたえるような精製状態にはまだ至っていない。また、本酵素はこれまで用いてきた条件下では基質の変換率が悪いため精製後の活性の検出が難しく、酸化やプロテアーゼの作用などのためか不安定でもあり、安定化と変換率の向上を図るべく、検討を繰り返している。 2)これまでのStreptomyces fradiaeより得られた部分精製酵素を用いた実験で、基質グルコース-6ーリン酸の4位で酸化還元反応が起こることを示唆する結果を得ており、一方NADの要求性があることよりこれは補酵素として基質4位の酸化還元に触媒的に作用していると考えられた。この4位水素が基質-NAD-生成物へと移動してゆく過程を追跡するために、酸素同位体と重水素の二重標識基質を用い、生成物を解析した。これまであまり良い方法の無かった単糖への部位特異的酸素同位体導入を含む二重標識化合物の合成法を開発し、〔4-^2,3-^<18>O〕グルコースの合成を行った。これをこれまで得られている部分精製酵素系に加えインキュベーションし、生成物を誘導体化後、質量分析した。その結果、重水素と酸素同位体の標識はそのまま生成物に取り込まれ、この水素の移動が分子内反応であることを確認することができた。また同位体効果に由来すると思われる現象を観察した(この結果については投稿準備中)。これらは本反応がNADの触媒的作用により基質を酸化還元する単一酵素により行われていることを強く示唆する。今後酵素精製を続け、本酵素の構造と性質を調べ、NADと基質の関係を定量的に解釈し、また実際に糖よりサイクリトールへの変換系を導けるものであるかを検討するとともに、遺伝子側からのアプローチ(突然変異株、薬剤耐性)から、注目している酵素とその周辺の生合成系酵素や、それらの発現機構を検討すべく準備を行っている。
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