1994 Fiscal Year Annual Research Report
スタフィロコッカルヌクレアーゼの変異体の作成と折れたたみ機構の解析
Project/Area Number |
06780525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊倉 貞吉 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (50251393)
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Keywords | スタフィロコッカルヌクレアーゼ / 変異体 / T7プロモーター / M13 ori / 巻き戻り反応 / ストップトフロー法 / シャペロニン |
Research Abstract |
スタフィロコッカルヌクレアーゼ(SNase)の変異体を容易に作成し、さらに大量に獲得できるような大腸菌での発現系を確立した。具体的には、T7プロモーターを有し、ヘルパーファージM13KO7により容易に一本鎖の調製ができる多コピー数プラスミドpMT7を構築し、それにSNaseの遺伝子を導入した(pMT7-SN)。 pMT7は、熊谷博士(東大・工)からいただいたプラスミドpUT7(pUC19にpET15bのT7プロモーター領域を導入したもの)に、pUC118のM13oriとマルチクローニング部位とをAatIIとBamHI部位で二重消化後ライゲーションによって導入したものである。pMT7へのSNase遺伝子の導入は、PCR法を用いたSNase遺伝子領域の増幅と5'側にNcoI部位の作成後に、pMT7のNcoI部位とSalI部位の間に挿入することによって行った。 pMT7-SNで形質転換した大腸菌BL21(DE3)/pLysSは、IPTGによるインダクション後4時間で大量のSNaseを発現することがSDS-PAGEにより確認された。さらに、このSNaseはInclusion Bodyとしてではなく、活性をもつ状態のまま菌体中に存在することを、SDS-PAGEと活性測定により確かめた。活性から見積られたSNaseの発現量は、1lの大腸菌の培養液あたり約140mgであった。この値は、これまでのlac-tacタンデムプロモーターを用いた系に比べて10倍以上、また、pLプロモーターを用いた系に比べて約2〜3倍にあたる。SNaseの精製は、2回の塩析とゲル濾過及びイオン交換カラムとにより行った。 この系により新たに4種類のSNaseのプロリン変異体(P47A,P47T,P56A,P117G)が獲得された。現在、各変異体の巻き戻り反応を各種ストップトフロー法により調べているところである。今後、さらにシャペロニンGroELとの相互作用も調べる予定である。
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