1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06780529
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
諏訪 牧子 東京農工大学, 工学部, 教務職員 (30242241)
|
Keywords | 膜タンパク質 / 立体構造予測 / 膜貫通ヘリックス / 極性相互作用 / レチナ-ル / 分子動力学計算 |
Research Abstract |
重要な機能を持つ膜タンパク質の立体構造をアミノ酸配列から理論的に予測する方法が強く望まれている。本研究では、構造形成機構を以下の様に考え、それに沿って膜貫通ヘリックスの相互配置を予測した。まず極性相互作用により膜平面内でのヘリックスの並進配置と配向角度が決まり、次に各種相互作用(主にファンデルワールス力)によりヘリックス自体のねじれ、相互の傾きなど詳細な構造が決まる。 まず、膜貫通ヘリックスの並進配置と配向角度を予測するため、膜に垂直なヘリックスを仮定し、分子力学計算から極性相互作用領域をヘリックス表面に割り振り、そこから2本のヘリックス間の結合力を求めた。膜平面での配置は、ヘリックス同士の結合力が強く、間のループの残基長が短いほど有利になるように予測した。また、配向角度は全てのヘリックスを長軸周りに同時に回転させ、極性相互作用の総和が最小になるように予測した。このとき補欠分子レチナ-ルの効果を計算に組み入れた。この方法で、バクテリオロドプシン(bR)の構造を予測したところ天然構造と良く一致した。 次に、詳細構造の予測を行った。膜に垂直なヘリックスを上記で得たbRのヘリックスの配置と向きに配置し、棒状のレチナ-ルを膜面に平行に入れ、初期座標とし、分子動力学計算を行った。膜の系をあらわに計算に取り込むのは困難なので、以下の近似を行った。(1)膜内を、誘電率2〜4の一様な空間とし、脂質分子は考慮しない。(2)ループ部分は切り離し、膜中ヘリックス部だけで計算する。(3)膜環境に相当する束縛をかけた。以上の条件で〜100ピコ秒のシミュレーションを行ったところ、極性領域が少ないヘリックスが大きく傾き、レチナ-ルは細胞外側に傾いた。各原子間の平均二乗距離はまだ数Aと大きいが、定性的な構造は天然のbRと良く似ており、より詳細な構造を予測できる可能性が示された。
|
Research Products
(1 results)