1994 Fiscal Year Annual Research Report
Pax遺伝子によって制御される分子の関わる神経発生プロセスの解析
Project/Area Number |
06780609
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川上 厚志 名古屋大学, 理学部, 助手 (00221896)
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Keywords | ペア-ドボックス / ホメオボックス / Pax / 神経回路 / 神経発生 / 網膜 / 視蓋 |
Research Abstract |
本年度の研究では、第一に、Pax6および7に対するモノクローン抗体による免疫化学染色およびin situハイブリダイゼ-ショ法によって、Pax6および7の発現を詳細に検討した。その結果、Pax6は、発生の初期にはレンズ、網膜原器、前脳、神経管の腹側などで発現していたが、発生の進行とともに網膜へと発現が限局し、最後は網膜の神経細胞のサブセットでのみ発現していた。また、Pax7は、発生の初期では中脳、神経管の背側、筋節、前脳域に由来する神経冠細胞などで発現が見られたが、発生の進行とともに、中脳視蓋に発現が限局し、未分化の神経細胞だけでなく分化した視蓋神経細胞で高レベルの発現が続いていた。これらの分子の発現パターンは、これらの分子が、当初に目的とした、神経回路網形成に関与するものであることを支持していると考えられる。 次に、Pax遺伝子ファミリーは、ペア-ドボックスモチーフをもつ転写制御因子と考えられる分子であることから、それらの制御する下流分子が、実際に神経回路網形成に関わっている分子であろうと考えられる。このような見地から、Pax6および7の標的遺伝子の探索を行った。それぞれのPax分子を発生の後のステージまで強く発現している組織を用い、固定によってin vivoでPaxと標的DNA領域をクロスリンクし、Pax6および7に対するものクローン抗体を用いた免疫沈降によって、Paxの標的DNAの精製を行った。精製したDNAからライブラリーを作成し、精製したDNA断片のプールをプローブとしてハイブリダイゼーションを行ったところ、いくつかの特異的に濃縮されたDNAクローンが得られた。現在、これらのクローンしたDNA断片の近傍に存在する遺伝子の同定を進めている。
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