1994 Fiscal Year Annual Research Report
マイオプラズミンC1融合タンパク質を用いた決定因子局在化メカニズムの再構成
Project/Area Number |
06780622
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
西方 敬人 甲南大学, 理学部・生物学科, 講師 (80212116)
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Keywords | ホヤ / マイオプラズミンC1 / 決定因子 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
ホヤ卵内における筋肉細胞分化決定メカニズムの分子的実体を、決定因子複合体という新たな観点から明らかにするため以下のような実験を行った。 pGEX-2T発現ベクターにマイオプラズミンC1cDNAを組み込み、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)とマイオプラズミンC1の融合タンパク質を大腸菌に作らせた。その融合タンパク質にホヤ卵あるいは卵巣のホモジュネートを加え、融合タンパク質に結合したタンパク質を解析した。対照実験としてGSTのみのものを用い、1、金属イオン濃度変化させ、2、細胞骨格の阻害剤を作用させて卵内の変化の様子を再現することを試みた。 1の結果:いろいろ条件において、p58との結合は保たれ、p58とマイオプラズミンC1との結合が比較的強固であることが示唆された。しかし、チューブリンやアクチンとの結合は観察されず、直接の結合が無い可能性も示唆された。さらに二次元電気泳動より、結合するすべてのタンパク質を検討したところ、マイオプラズミンC1との結合を明らかに示す分子を新たに見付け出すことはできなかった。 2の結果:細胞骨格の阻害剤(グリセオフルビン、タキソ-ル、サイトカラシン)を加え、結合するチューブリン、アクチン、中間径フィラメントの分子種にどの様な変化が起こるかをウエスタンブロットにより検討したが、これまでのところ明らかな変化は観察されなかった。このことは、細胞骨格繊維の状態とマイオプラズミンC1との結合の有無とが関係していないこと示すとも考えられるが、融合タンパク質を用いた実験系の再検討も必要であり、マイオプラズミンC1の部分的な配列を用いた融合タンパク質の作成を進めていたところであった。 震災の影響で不十分なデーターも多いが、p58との結合や微量かつ比較的多数の分子の関与が示唆され、これから決定因子複合体をさらに明らかにするために重要な知見が得られた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tanaka,K.J.and Nishikata,T.: "Specification in the primary lineage of ascidian muscle cells analy3ed with a specific monodcnal antibody" Men.Konan Univ.,Sci.Ser.,. 41. 89-97 (1994)