1994 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンス核酸断片を用いた線条体機能斑の役割の解明
Project/Area Number |
06780644
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
宝谷 剛志 関西医科大学, 医学部, 助手 (60241163)
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Keywords | オピオイド / 受容体 / 神経損傷 / mRNA発現 / ラット |
Research Abstract |
本研究ではジゴキシゲニンを標識したcRNAプローブを用いて線条体での受容体発現動態を追求した。まずμオピオイド受容体のcDNAクローンから、 in vitro transcription反応によりcRNAを合成した。この反応によりジゴキシゲニン標識UTPを添加し、ジゴキシゲニン標識RNAプローブを得た。これを用いてRNA in situハイブリダイゼーションを行った。従来のハイブリダイゼーション法に比べて細胞タイプの同定が容易になった。線条体では中型細胞から構成される機能斑領域が強くシグナル陽性を呈した。 上記の機能斑での発現変化を追求するため、(1)コリン性神経細胞が当該受容体を発現しているかどうか、(2)神経損傷を加えた場合に発現がいかに変化するか、の2点について基礎的検討をおこなった。コリン性神経細胞は線条体をおいて、大型の細胞体を有し、機能斑の周辺に近接して分布した。コリン性神経細胞にμ受容体はほとんど発現せず、機能斑のμ受容体発現は直接コリン性大型細胞が担当していないと推測した。 一方、μ受容体発現を脳幹において検出したところ、迷走神経起始核の神経細胞群に高度に発現していることを見い出した。そこで、これらの神経細胞での受容体発現が、神経線維に対する障害を加えたのちいかに変化するかを観察するため、片側の迷走神経を切断した。損傷後1日目ないし2日目という早期に起始細胞でのμ受容体発現は大きく減弱し、およそ40日目の観察においても発現は認められなかった。 μ受容体の発現や変化について、線条体をはじめとする組織での局在所見を得た。また神経損傷後の発現変化に関し得られた知見を報告した。この受容体遺伝子の機能については現在分析をすすめているが、その過程で新規にオピオイド受容体が脳内(とくに視床下部や脳幹など)に発現していることがわかり、報告した。今後詳細な分析をすすめることにより、これらオピオイド受容体の機能的役割をさらに明らかにしてゆきたい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kazuhiko Fukuda: "cDNA cloning and regional distribution of a novel member of the opioid receptor family." FEBS Lett.343. 42-46 (1994)
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[Publications] Takeshi Houtani: "μ Opioid receptor: expression and vagotomy-induced depletion of the mRNA in medullary preganglionic neurons." Molec.Brain Res.24. 347-352 (1994)
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[Publications] Kazuichi Sakamoto: "Expression of mRNA encoding the prostaglandin F2α receptor in the bovine corpora lutea throughout the oestrous cycle and pregnancy." J.Reprod.Fertil.(in press). (1995)
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[Publications] Yoko Tsukahara: "A subpopulation of large ganglion neurons express IsK protein mRNA: an in situ hybridization analysis in the rat eye." Molec.Brain Res.(in press). (1995)