1994 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸トランスポーターのグルタミン酸輸送機構の解明
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06780666
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
田中 光一 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病4部, 室長 (80171750)
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Keywords | グルタミン酸 / トランスポーター / シナプス伝達 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
本年度はヒトの脳からグルタミン酸トランスポーターのサブタイプの一つ(hGluT-1)を単離し、その構造・機能解析を行なった。hGluT-1は542個のアミノ酸からなる膜蛋白質で、6個の膜貫通領域を持ち、ラット、マウスのhGluT-1とは96.9%,96.7%の相同性があった。hGluT-1の活性はNa+依存性で、グルタミン酸に対する親和性は78.4μMであった。hGluT-1の活性はグリアタイプの阻害剤により抑制された。hGluT-1のmRNAは脳に最も多く存在し、少量ではあるが、心・肺・筋肉などの末梢組織にも存在した。更に、hGluT-1と神経変性疾患との関係を解析するため、hGluT-1の遺伝子座は5p13にあることを明らかにした。疾患との関係は、現在解析中である。 また、マウス脳から3種類のグルタミン酸トランスポーター(MEAAC1,MGLUT1,MGLT1)を単離し、それらの構造・分布の解析を行なった。これら3種類のグルタミン酸トランスポーターはアミノ酸レベルで52-56%の相同性を示し、一つのスーパーファミリーを形成する。MGLT1は脳のみに存在するが、MGLUT1とMGLT1は脳だけでなく末梢組織にも存在した。現在、これら3種類のグルタミン酸トランスポーターをそれぞれ発現している細胞株を作成し、詳細な薬理学的特性を解析中である。更に、これら3種類のグルタミン酸トランスポーターの膜内トポロジーに対する手掛かりを得るため、それぞれの遺伝子構造を決定した。MGLUT1とMGLT1は10個のエクソンから成るが、MEAAC1は12個のエクソンから成っていた。 また、虚血負荷によりラットGluT-1のmRNAが増加することを見いだした。
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[Publications] H.Kawakami: "Cloning and expression of a human glutamate transporter" Biochem.Biophys.Res.Commun.199. 171-176 (1994)
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[Publications] Y.Otori: "Marked increace in glutamate-aspartate transprerter(GLAST/GluT-1)mRNA following transient retinal ischemia" Mol.Brain Ples.27. 310-314 (1994)
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[Publications] S.Takai: "Localization of the gene(SLCIA3)for the human glutamate transporter(GluT-1)to 5p13 by fluorescence in situ hybridization" Cytogenet.Cell Genet.(1995)