1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの昆虫神経分化制御遺伝子ホモログの単離とその解析
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06780669
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
程 肇 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00242115)
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Keywords | PASドメイン / 相動モチィフ / ヒトゲノム / PCR / per |
Research Abstract |
本研究は生物のもつ類似性に着目し、研究の進んでいる生物材料で得られた情報に基づき、ヒトの神経系の構造と機能を分子レベルで解析しようとする試みである。生物のもつ固有の機能とはタンパク質の機能である。たんぱく質の機能はモチィフの組み合わせにより発現する。さらにモチィフを構成する情報はゲノム中に蓄積されている。モチィフ(アミノ酸配列)に対応するゲノム中の構造(塩基配列)をここではモヂュルと呼ぶ。本年は生物種を超えた相同モヂュルを得る方法(IMS-PCR法)を確立した。タンパク種を超えて、一致したあるいは類似なアミノ酸配列が保存されている時、それは相同モチィフである。IMS(Intra Module Scanning)-PCR法では、アミノ酸配列をPCRプライマーで反映させ、配列間隔を塩基数により反映させている。まず、標的モチィフ内の保存アミノ酸配列に基づき、ヒトのコドン使用頻度を参照しながら、Degenerate primerをデザインする。また、目的の塩基数を持つDNA断片の精製のために3塩基間隔をもつ(1コドンは3塩基より構成されるため)分子量マーカー、3n+2 ladderを作製した。さらに、電気泳動条件を検討し、目的とする塩基数の1塩基の誤差範囲内でDNA断片を回収する条件を決定した。これらをもとに、ヒトゲノム上のPASドメインというモチィフを検索した。PASドメインをもつタンパク質にはショウジョウバエの中枢神経分化に必要なSimや、リズム形成に機能するPerが存在する。IMS-PCR後、目的に分子量を持つDNA断片をクローニングし、塩基配列を決定した。その結果、perやsimに相当するDNA断片を得ることができた。現在、5'-RAGEや3'-RAGE法により、これらの断片を含む染色体領域のクローニング及びマッピング、さらにRT-PCR法でcDNAの解析を進めている。
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