1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06780688
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤口 俊之 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (00183830)
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Keywords | 前頭連合野 / 作業記憶 / コラム / 層 / サル |
Research Abstract |
本研究の目的は、前頭前野の層のニューロン活動との関係を解析し、作業記憶の層状の情報処理様式を明らかにすることにあった。この目的のため、2頭のサルに眼球運動による遅延反応課題(ODR)課題を訓練した。ODR課題では、視覚刺激の位置を一時的に覚え、遅延のあとにその位置に眼を動かすことが課される。この課題をうまく行うためには、空間情報の作業記憶が必須であり、作業記憶を調べるのに適している。サルがこの課題を行っている際に、炭素封入ガラス電極を用いて前頭連合野からニューロン活動を記録した。一連の記録のあと、電極先端から直流電流を流し、炭素の沈着(直径百ミクロン程度)をつくり、記録部位のマークとした。 これまでおよそ50個のニューロンでその層分布を調べ、ニューロン活動と層との関係を解析した。その結果、層によってニューロン活動の性質が異なることが判明した。つまり、皮質の浅い層には視覚刺激に応じるニューロンが多く、中層には遅延期に関係するニューロン活動が多かった。また、深層には遅延期と反応期の両方に関係するニューロンと反応期関連ニューロンが多くみつかった。さらに、ニューロンの空間コーディングをコサインカーブへのフィッティングにより計算し、この空間コーディングと皮質層との関係を調べた。そして、電極を皮質表面に対して垂直に刺入した場合、ニューロンがもっとも強く活動する方向(「好みの方向」)はおおむね一定することが判明した。以上のデータは、同様な空間コーディングをもつニューロンがコラム状に分布すること、そして、各コラム内で層状の処理が進行することを示唆する。ある空間位置に関する情報の受容→メモリ→行動出力という一連の作業記憶過程はあるコラム内で、上層から深層へと層状に進行すると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sawaguchi,T.& Goldman-Rakic,P.S.: "The role of D1-dopamine receptor in working memory : local injections of dopamine antagonists into the prefrontal cortex of rhesus monkeys performing an oculomotor delayed-response task." Journal of Neurophysiology. 71. 515-528 (1994)
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[Publications] Sawaguchi,T.: "Modular activation and suppression of neocortical activity in the monkey revealed by optical imaging." NeuroReport. 6. 185-189 (1995)
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[Publications] Sawaguchi,T.: "Functional modular connections in the frontal cortex of monkey revealed by an optical recording technique." J.Physiol.Soc.Japan. 44. 631 (1994)