1994 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠・覚醒位相の制御に対するセロトニン作動系の機能的役割
Project/Area Number |
06780694
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
岩切 裕昌 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (10261124)
|
Keywords | 睡眠 / セロトニン / 脳幹 / 橋 / 網様体 / マイクロダイアリシス / レム睡眠 / 筋トーヌス |
Research Abstract |
ネコの睡眠期においてはヒトと同様に徐波睡眠とREM睡眠とが一定の周期で繰り返される。本研究では内側橋網様体に投射するセロトニン作動系が筋トーヌスレベル制御系としてだけでなく、睡眠・覚醒位相制御系の一部としても機能しているのかの疑問を解明することを目的とした。実験には無麻酔・無拘束ネコを用いた。無麻酔・無拘束の条件下で脳波、眼球運動、PGO波、頸筋筋電図などの記録を行った。同時にマイクロダイアリシス用の透析プローベ(透析膜長3mm、直径220μm、分画分子量4500Da)をガイドカニューラを通して内側橋網様体に刺入した。この透析プローベを用いてセロトニンおよびそのアゴニストを含んだリンゲル液をマイクロインフュージョンポンプをもちいて1μl/minの流速で内側橋網様体の細胞外液中に持続的に注入した。セロトニンの注入に先立ち記録時間にしめる睡眠覚醒位相の割合が正常範囲内であることを脳波、眼球運動、PGO波、頸筋筋電図などの記録から確認した。その結果、セロトニンの注入によって覚醒が引き起こされ、睡眠とくにREM睡眠は著しく抑制された。さらにREM睡眠は、その頻度のみならず持続時間も減少することが明らかとなった。したがって、内側橋網様体に投射するセロトニン作動系が睡眠・覚醒位相制御系の一部として重要な役割を果たしていることが明らかとなった。以上のように本年度の実験計画はほぼ完全に実施することができ、また当初の計画に沿った研究成果も得ることができた。
|
Research Products
(1 results)