1994 Fiscal Year Annual Research Report
サル及びラットを用いた食物アレルギーにおける経胎盤感作に関する研究
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06780708
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Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
今岡 浩一 国立公衆衛生院, 衛生微生物学部, 研究員 (90211755)
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Keywords | オボアルブミン / 食物アレルギー / 経胎盤感作 / リスザル / ラット / 特異的IgE |
Research Abstract |
1。予研・筑波霊長類センターで飼育されているリスザルは、飼育に必要な影響を補うため、毎日、ウズラ卵を1個ずつ食している。そこで、オボアルブミン(OVA)に自然感作されていないかどうか検討するため、1〜11歳のリスザル95頭より、血清を採取し、OVAに対する抗体を検索した。特異的IgGは、44%(42/95)のサルが、1:20以上と陽性であった。食物アレルギーと関係の深い、特異的IgEは、38%(36/95)のサルが1:5以上と陽性であった。年齢別に見ると、2、3歳と7歳で、約50〜60%と高い陽性率を示した。抗体価もこれらの群で高く、特に7歳では100倍以上を示す個体が認められた。症状に関しては、顕著には認められなかったが、普段の食生活により、食物アレルゲン特異的IgEが誘導される事が示された。(第41回日本実験動物学会総会、1994年、で報告) 2。IgE高応答性を示すBrown-Norwayラットを用いて、経胎盤感作による特異的IgEの誘導を試みた。妊娠12〜14日目の雌にOVAを経口投与もしくは静脈内投与を行った。授乳期に母親に対して、また、離乳後、子供に対してOVAを経口投与し、血清中のOVAに対する抗体を検索した。妊娠中の経口投与群では、母親に特異的IgEの誘導は認められなかった。子供は、離乳後の経口投与により、わずかに誘導された。一方、静脈内投与では、母親に特異的IgE、IgGともに誘導が認められ、授乳期の経口投与による二次応答も認められた。子供は、生後3〜5日後に、わずかながら特異的IgEの誘導が認められ、授乳期、離乳後の経口投与による増加も、わずがながら認められた。これらの事は、胎児期に、OVAに感作され、特異的IgE抗体産生能を獲得している事を示唆している。さらに、抗体価を高くする条件を検討する事で、食物アレルギー研究の良いツールになると考えられる。(第42回日本実験動物学会総会、1995年、で報告予定)
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