1995 Fiscal Year Annual Research Report
ライプニッツの言語哲学における自然言語および人工言語の意味論の問題
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06801002
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Research Institution | Kyusyu Institute of Design |
Principal Investigator |
松田 毅 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (70222304)
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Keywords | ライプニッツ / 自然言語 / 意味論 / 記号の恣意性 / アダムの言語 |
Research Abstract |
平成7年度は、前年度に口頭発表した「ライプニッツの自然言語論」を論文発表した。そこでは自然言語を軸に、意味論の問題を、一方では、比較言語学や語源学、他方では、認識論との関連で考察した。その結果、「構造的類比」の意味論を土台としたその言語哲学と「コンセプチュアリズム」の形而上学との対応を確認すると同時に、歴史的に多様な自然言語が科学の目指す「実在」の表現へと「進化」する可能性の根拠がそこにある点を指摘した。その後、構造的類比の意味論が、普遍記号学のような人工言語と様々な国語=自然言語に対してもつ意義や果たす役割についてさらに研究・考察した。特に、この意味論に関連する主題として「アダムの言語」、「記号の恣意性」のテ-ゼ、語の「翻訳不可能性」ないし「言語相対主義」などの各論点についてライプニッツ以前・以後の言語哲学の影響作用史的解明を試みた。なかでも、以後のカント哲学およびドイツ観念論に対する言語論的批判に含まれるライプニッツ的要因とそこで後景に退いたものとを焦点として考察するために、ハーマン、ヘルダー、フンボルトなどの言語哲学の研究にかかった。研究はまだ十分ではないが、ハーマンの場合のカント認識論への「メタ批判」に含まれるライプニッツ的着眼点、またヘルダーの『言語起源論』の反「恣意性」のテ-ゼやそのロマン主義的言語論への動きを確認するとともに、フンボルトの言語への関心が、人間の言語性に関する人間学的構想に端を発しており、そこに超越論哲学の言語論的転回の先取りを見うることなどを理解した。これらについて研究成果報告書で若干の見通しを述べた。最後に、論文「デカルトとライプニッツ」(『デカルト読本』に掲載予定)では、デカルトの方法論に対するライプニッツの批判を検討し、デカルト的な直観的明証の論理的基準を構成概念の両立可能性により論理化するライプニッツの方法論が、概念の表現である記号の分析とその進展に訴えるものである点を解明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 松田 毅: "ライプニッツの自然言語論" アルケ-関西哲学会年報. No.3. 128-137 (1995)
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[Publications] 湯川佳一郎・小林道夫編集: "デカルト読本" 法政大学出版局(近刊予定),