1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06801026
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Research Institution | Shiraumegakuen College |
Principal Investigator |
都留 民子 白梅学園短期大学, 保育科, 助教授 (00236952)
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Keywords | 貧困 / 社会的排除 / 失業 / 最低限所得 / 新しい貧困者 / 家のない人々(SDF) |
Research Abstract |
特に、フランスの新しい公的扶助である参入最低限所得(RMI)制度の受給者の動向(数、属性、「自立」状況)についての研究を行った。受給者と、そこからも取り落とされている貧困者を分析するなかで、RMIの「最終的な保障の網」という役割の検証した。それは、従来の最低限所得を保障する扶助(高齢者最低限所得(MV)、障害者手当(AHH)、ひとり親手当て(API)などの6つのカテゴリー別保障制度)の保障の欠落がいかにRMIによって埋められているか、また、幾世代にもわたって形成された「伝統的貧困」にいるもの・家族、そして1980年代の労働市場の悪化、経済危機の下で生起したといわれる失業者や「新しい貧困者nouveaux pauvres」、ホームレス、外国人など多様な属性を見せているフランスの貧困者をいかにテイクアップできているか(否か)を検討した(この成果は1995年度「白梅短大研究紀要」に発表)。 また、公的扶助の諸制度の主たる運営機関であるコミューンの社会福祉事務所の機構・組織、そして公的なソーシャルワーカーの援助内容について検討できた。さらに民間非営利団体(人道的アソシエイション)の貧困者援助活動の具体例の収集し、その特徴、さらには公私の援助の最終的な眼目について検討した。この研究は、フランスでは援助はあくまでも過渡的な保障制度であり、将来的には雇用政策や一般的な社会保障・社会保護制度に繋げることが目指されていること、換言すれば貧困者だけに的を絞った制度は一時的で、将来の「跳躍台」と位置付けられている点が明かになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 都留民子: "フランスの貧困とその援助活動(4)福祉事務所の役割" 福祉のにひろば. No.62. 79-84 (1995)
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[Publications] 都留民子: "フランスの貧困とその援助活動(5)「福祉国家」の連帯" 福祉のにひろば. No.63. 78-83 (1995)
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[Publications] 都留民子: "フランスの最低限所得(RMI)制度の受給者" 白梅学園短期大学紀要. 32号(発表予定). (1996)