1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06803014
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中條 祐介 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (40244503)
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Keywords | メインバンク / 会計政策 / ディスクロージャー / IR |
Research Abstract |
平成7年度は、平成6年度に作成を開始したデータベースの補充・拡張を行った。特に、上場会社に対して銀行から派遣された経営トップの情報と、公開会社の決算情報予想のデータを中心に整理した。前者のデータは、銀行の企業に対する圧力の度合いを推測する1つの尺度と考えられるため、経営トップ派遣のタイミングやトップ派遣の断絶などのイベントを通して企業の会計政策の変化を分析するのに有用であると思われる。また後者は、予想情報が公開会社の決算政策を制約する要因であるとの仮説を検証するために必要不可欠なデータである。 さらに、今年度は企業が資金調達先を確保するために、どのような行動を展開しつつあるかを研究した。1980年代末のエクイティファイナンス・ブームと、90年代初頭に始まったバブルの崩壊によって、企業は主な資金調達先を銀行に依存する必要性は少なくなったと思われる。むしろ多様な調達ルートを確保することが緊急の課題となった。そのために有用と思われる活動の1つに、インベスター・リレーションズ(以下、IR)がある。株主、投資家等に向けて、法律で要求されているディスクロージャーの枠を超えて、積極的に情報を発信していこうというものである。この活動により期待される効果としては、大きく2つのものが考えられる。1つは、企業のファン作り、安定株主の確保といった、コ-ポレート・ガバナンスの安定に寄与する効果である。もう1つは、いつでも必要なときにエクイティ・ファイナンス等を実施できる環境づくりである。つまり、常に最新の情報を市場に伝達していけば、それらが株価に織り込まれていく。この場合、情報発信の回数が少ないケースに比べ、株価の変動性が抑えられるはずである。したがって、安定した株価のもとで計画的に資金調達を行うことが可能となる。この研究成果は、当該報告書に記載した通り、『産業経理』第55巻第4号(1996年1月)に掲載された。
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