1994 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン検出器のコンダクタンスでみられた不安定な量子状態の研究
Project/Area Number |
06804021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮地 孝 東京大学, 原子核研究所, 助手 (20013401)
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Keywords | 放射線検出器 / 放射線検出器の安定性 / シリコン-金属界面 / 界面の量子状態 |
Research Abstract |
赤外線照射装置を製作した。これによりサンプルを、所定の気体雰囲気中に置いたまま、温度-10から80℃の範囲で冷却と加熱を可能にした。 不安定な量子状態を研究する上で非共鳴成分を調べる必要がある。今年度では非共鳴成分に焦点を当てた。数種類のサンプルを試作し、これを大気圧で室温に保持した乾燥空気の雰囲気中に置き、赤外光で発生した電荷の集積効率を長期間継続して測定した。この結果電荷集積効率は二つの変動形式分類される事が分かった。即ちバイアス電圧依存性で見ると、エージング初期には飽和電流値に到達する電圧が低電圧方向に十日程度の時間特性で移動する。最小値に達すると、反転して高電圧方向に百日程度の時間特性で移動する。このような変動形式は末報告であったので、前者をprogressive、後者をregressiveな状態と命名した。後者の現象は、トンネル電流の減少の割合から、表面酸化膜の成長に帰着すると結論した。他方後者は飽和電流の時間変化の特性から遅い表面状態に起因するものと推察される。以上の実験結果は本研究の一部として応用学会誌に投稿した(精査中)。 本年度の研究結果から不安定な量子状態は体積効果でなく表面現象に由来すると考えてよい。以上の考察に基ずいて、サンプルのシリコン-金属の界面を、酸素、窒素及び二酸化炭素のガス雰囲気中で構成する事をテスト中である。これらを解決した上で、サンプルの電荷集積効率の時間変化を精密に測定して、不安定な量子状態の発生機構を解明する。
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