1994 Fiscal Year Annual Research Report
渦位拡散モデルを用いた表・中・深層海洋大循環の包括的研究
Project/Area Number |
06804024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 章 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (60091401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草場 忠夫 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (00037871)
上原 克人 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (80223494)
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Keywords | 海洋熱塩大循環 / 三次元構造 / 拡散型鉛直モード / 渦位拡散 / 拡散性伸縮 / 拡散型実効重力模型 / 海底地形 / 地衡流の島 |
Research Abstract |
1.熱塩循環の三次元構造 二種類の(準)定常熱塩循環に対して数値実験を行った。海盆中央付近の海面のみを冷却して循環を駆動する最初の実験では、モデル化した対流冷却源に対する各モードの応答を単一モードの力学に基づいて明快に説明できた。加えて、そのモード合成は三次元実験の流速場を極めて良く再現した。これは熱塩循環の大規模三次元構造が深層水形成の詳細に依存しないことを意味する。第二の実験では海面を低緯度で暖め高緯度で冷やして循環を駆動した。その循環は四つの循環成分の和として良く再現できる。但し各循環成分は、それぞれ対流域、北岸、東岸、西岸領域に分布する冷却源によって駆動されるとする。また、各循環成分の三次元構造自体は、単一モードの力学とモード合成により説明できた。 2.深層循環に及ぼす海底地形の効果 拡散型実効重力模型を用いて深層循環に及ぼす海底地形の影響を調べた。海山・海谷いずれの場合もその上に低圧部が発生し西側に伸びる。この結果は二次までの摂動論により明快に説明できた。海底地形の起伏が大きく「地衡線の島」ができる場合も同様であった。但し流れが集中し地衡線の島の境界と「尾」に沿った噴流ができる。地衡線の島の内側では湧昇が極めて弱く沈降となる場所すら現れる。この場合も簡単化した方程式の解析解を求めることにより、上述の複雑な頒布が生じる力学的理由を明らかにできた。また、このような海底地形の影響が三次元の数値実験でも現れ得ることを示唆した。 以上のように、渦位拡散を考慮した「拡散型鉛直モード展開」という視点から、海洋大循環の三次元構造を維持する仕組みや深層における奇妙な沈降流の分布の力学的解明を格段に進めることができた。
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