1994 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミッククラウン化合物の基礎物性とイオン伝導光制御材料への応用
Project/Area Number |
06804039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 恵一 大阪大学, 工学部, 助教授 (50107140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 正明 大阪大学, 工学部, 教授 (90029281)
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Keywords | フォトクロミック化合物 / クラウンエーテル / 金属イオン錯形成 / 光制御 / イオン伝導度光スイッチング |
Research Abstract |
フォトクロミック化合物は、本来、光照射により、色または吸収スペクトルが変化する化合物を意味する。しかし、フォトクロミック化合物のなかには、光異性化により化学構造が大きく変化するものがあり、スペクトル変化以外の別の機能を持たせることが可能である。本研究では、クラウン環を有するフォトクロミック化合物を設計合成し、その金属イオン錯形成能、異性化反応および錯形成の光制御を検討した。さらに、材料化学への展開として、これらのフォトクロミック化合物を含むイオン伝導性薄膜から成るイオン伝導光制御系の構築を目指した。 1)クラウン化スピロナフトオキサジンの光異性化に伴う金属イオン錯形成能変化を利用し、イオン伝導性高分子複合膜のイオン伝導光応答を調べた結果、光照射により顕著なイオン伝導度スイッチングが認められた。また、本フォトクロミック化合物の光耐久性を反映して、本系のイオン伝導度スイッチングにおいて優れた繰り返し特性を示し、記録材料への応用に極めて有望であることが示唆された。 2)クラウン化マラカイトグリーンロイコニトリルの溶液中におけるアルカリ金属イオン錯形成能、異性化反応および錯形成能の光制御を検討した。その結果、紫外光照射により、クラウン化マラカイトグリーンが光イオン化し、分子内カチオン生成に伴って生ずるイオン-イオン反発に由来するナトリウムイオンのクラウン環からの放出が起こった。その後、熱反応によりイオン再結合が起こりクラウン環の金属イオン錯形成能が増大し、光-熱によりクラウン環の金属イオン錯形成能が制御できることが判明した。現在、クラウン化マラカイトグリーンロイコニトリルをイオン伝導性複合膜を用いるイオン伝導光制御系に適用し、イオン伝導光増幅の可能性を検討している。
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[Publications] K.Kimura,M.Kaneshige,T.Yamashita,M.Yokoyama: "Cation Complexation,Photochromism,and Reversible Ion-Conducting Control of Crowned Spironaphthoxazine." Journal of Organic Chemistry. 59. 1251-1256 (1994)
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[Publications] K.Kimura,M.Kaneshige,,M.Yokoyama: "Anomalous Photochromism and Photochemical Cation-binding Control of Crowned Malachite Green Leuconitrile Based on Intramolecular." Journal of the Chemical Society,Chemical Communications. 1103-1104 (1994)